2022年12月2日掲載

「教育から発信! 歯科衛生士の魅力と専門性~これからの歯科衛生学教育に求められるもの~」をテーマに

第13回日本歯科衛生教育学会学術大会、Web配信にて開催

第13回日本歯科衛生教育学会学術大会、Web配信にて開催
 さる12月2日(金)からきたる16日(金)までの期間、第13回日本歯科衛生教育学会学術大会(山田小枝子大会長、石川裕子理事長)が「教育から発信! 歯科衛生士の魅力と専門性~これからの歯科衛生学教育に求められるもの~」をテーマにWeb配信にて開催されている。当初は朝日大学(岐阜県)におけるハイブリッド形式での開催で準備が進められていたが、新型コロナウイルス感染症の収束が見込まれないため、昨年に引き続きWeb配信のみとなった。

 特別講演では、今井一彰氏(医師、みらいクリニック)が「知っていますか? 口呼吸の弊害~呼吸から起きてくる様々な問題~」と題し登壇した。氏は、口呼吸によって起こるさまざまな問題を紹介したうえで、鼻呼吸の重要性をあらためて強調。そのうえで、鼻呼吸をするためには舌位置が重要であるとし、自身が考案した「あいうべ体操」のやり方について解説した。また、患者は自分自身が口呼吸なのか鼻呼吸なのかわからないことが多いため、専門家側が情報を提供することが重要であり、口が開いていることを指摘し、閉じられる口をつくることができる歯科医院の果たす役割は大きいと述べた。

 教育講演Ⅰでは、西田 亙氏(医師、にしだわたる糖尿病内科)が「令和のTBIに求められるもの~医科の視点から~」と題し講演を行った。氏はまず、国民に重くのしかかる人工透析治療にともなう医療費と介護保険費用の現状について解説。歯周病がない人、軽度の人に比べ、中等症、重症、無歯顎の人では透析患者が多いというデータも示したうえで、患者数を減らすためには歯周病の治療が重要であり、その最前線に立つ歯科衛生士の力が不可欠であると述べた。また、介護が必要となる最大の原因とされる認知症については、Pg菌がアルツハイマー型認知症を進行させるという報告も紹介。「歯周病菌が認知症進行の一因であるならば、歯周病治療が認知症の治療と予防に寄与できる可能性は大きい。歯科衛生士のスケーリング、ルートプレーニング、TBIなどで口腔内を清め、歯周病をきちんと治療することで、Pg菌を激減させ、その人の未来を守ることができる」と力説した。

 なお、次回の第14回学術大会は、きたる2023年12月2日(土)、3日(日)の2日間、日本歯科大学生命歯学部(東京都)において、合場千佳子大会長のもと開催予定。

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