2022年12月4日掲載

「新型コロナウイルス感染症から歯科医療を守る - Protection of Dentistry from COVID-19 Pandemic」をテーマに

第6回国際歯科医療安全機構総会・学術大会が開催

第6回国際歯科医療安全機構総会・学術大会が開催
 さる12月4日(日)、一般社団法人国際歯科医療安全機構第6回総会・学術大会(瀬尾憲司大会長、瀬戸●(かん)一[●は日へんに完]理事長)が、Web配信にて開催された。

 最初に、歯科診療報酬の「初診料の注1」にかかわる施設基準の「院内感染防止に係る標準予防策および新興感染症に対する対策」の研修として、関谷秀樹氏(東邦大准教授)が「歯科医院における環境整備・感染対策と新興感染症への対応」と題し講演。歯科医院の感染対策は、医療者・医療施設から患者または患者から医療者相互間の理不尽な感染が起きないようにするリスクマネジメントであると強調し、感染経路がわかるもの、わからないもの、いずれにも対応できるような感染防御や拡大防止等の具体的な対応を解説した。

 つぎに、小坂 健氏(医師、東北大教授)による特別講演「新型コロナ感染症パンデミックの今後の展開」が行われ、最新の新型コロナウイルスの情報を提供。寒い地域や過去に感染者が少なかった地域での増加、接触感染はほとんど起こらず、エアロゾル対策が重要、欧米ではオミクロン株でもBA.5からBQ.1への変異が進み、日本もその可能性が高いこと、今冬はオーストラリアや米国ではインフルエンザとともにRSウイルスも流行したトリプルデミックで日本もその可能性があることなどを紹介。ただ、厳しい冬は想定しつつも、リスクを減らしていくことで日常生活を過ごしていけるようにとの見解を述べた。

 続いて、歯科診療報酬の 「歯科外来診療環境体制加算1および2」に関する施設基準の「偶発症に対する緊急時の対応、医療事故対策等の医療安全対策に係る研修」として大会長の瀬尾氏(新潟大教授)が「歯科治療中の緊急事態発生の予防対策とその対応」について解説。自施設での調査での、歯科で緊急事態が生じた場として、1位の口腔外科診療時に次いで外来受付が2番目に多かったことを紹介し、歯科医院でも医療安全対策として緊急対応がとれる体制を備えておく必要があると指摘。特に呼吸を確認し、そこからアプローチすることの重要性と実際の対応を解説し、緊急事態に対応できる知識と技術、器具の準備が大事であると強調した。

 最後に本多忠幸氏(医師、新潟大准教授)より「アナフィラキシーの初期症状と対応」と題した特別講演が行われた。アナフィラキシーの発症頻度やメカニズム、臨床症状とともに、具体的な対応を解説。アレルギー有無の確認による「1)予防」、発症した場合の気道、呼吸、循環、皮膚粘膜の評価とスタッフとともに対応する「2)認知と応援要請」、アレルゲンの除去やエピペン投与、仰臥位(下肢挙上)、酸素投与などの「3)初期対応」、そのうえで「4)救急車・病院」での治療につなぐ、これら4つの輪について連携を適切にとることの重要性を強調した。

 次回、第7回総会・学術大会は、きたる2023年6月4日(日)に、日本大学松戸歯学部(千葉県)において開催予定である。

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