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2022年12月4日掲載

斎藤隆輔氏、宮本英欧氏、奥田浩規氏らが登壇

日本臨床歯科学会東京支部、2022年度 第2回 Webinar ステップアップミーティングを開催

日本臨床歯科学会東京支部、2022年度 第2回 Webinar ステップアップミーティングを開催
 さる12月4日(日)、日本臨床歯科学会東京支部(大河雅之会長)による2022 年度 第 2 回 Webinar ステップアップミーティングが開催され、同学会所属の気鋭による3題の会員発表が行われた。演題、演者および概要について以下に示す(講演順)。

1)「ブラキサー患者へ咬合再構成を行った症例」」(斎藤隆輔氏、秋田県開業)
 本演題では、演者が日本臨床歯科学会のレギュラーコースを受講中の2015年9月に初診となり、現在まで経過観察中の症例を供覧。「上顎右側中切歯が欠けて痛い」ことが主訴であったが、下顎の3歯欠損、上顎臼歯部の歯根破折や骨吸収および下顎前歯部舌側の骨隆起、そして前歯部切縁の咬耗などからパワータイプのブラキシズム症例と診断。咬合高径の挙上やインプラントによる咬合支持の回復、PMMA材料を応用した高強度のプロビジョナルレストレーションの応用、そして側方運動の際に下顎頭が後方へ移動する本症例に対し、半調整性咬合器にてシフト角の調整を行いプロビジョナルレストレーションにて煮詰めた運動路を最終補綴装置に反映させる過程といった治療の流れに加え、治療計画立案に用いたインサイザルエッジポジションの設定基準に関する文献やブラキシズムの原因論に関する文献も適宜提示。さらに術後の経過観察では、9か月後にみられたコンポジットレジン充填部のチッピングやファセットの発生をはじめ、3年9か月までの予後を包み隠さず提示した。そのうえで、本症例のまとめとして、よりいっそうの顎関節への検査・診断が必要だったこと、また知識と治療の引き出し、各ステップでの再評価が足りなかったことが課題であるとした。

2)「永久歯欠損がある歯列に対し矯正及び修復治療にて対応した1症例」(宮本英欧氏、沖縄県開業)
 本演題では、2019年初診の26歳女性患者についてケースを供覧。骨格1級で歯列の関係もおおむね1級であるが、上下大臼歯と下顎前歯に欠損が散見される状況(下顎右側第一大臼歯、上顎左側第二大臼歯、下顎右側側切歯が抜歯済み)に対して、まずは主訴となった上顎左側中切歯の痛みを根管治療で解決後、その原因について考察。ここでは、上顎左側側切歯が舌側に変位していることが、上顎左側中切歯へのオーバーロードにつながったことが原因ではないかとした。そのうえで、顎機能自体には問題がないことを確認後、治療計画を提示。上顎右側第二大臼歯部にジルコニアクラウン、上顎4前歯をラミネートベニア、そして下顎右側側切歯は下顎右側犬歯にリテーナーを接着する片側接着ブリッジとすることとし、それに向けた矯正歯科治療の工程を示した。その後、矯正治療後の再評価においては、口腔内スキャナーとフェイシャルスキャナーで採得したデジタルデータをCTのDICOM データとマッチングさせ、CADソフトウェア上で顔貌基準の2nd Diagnostic wax upを行い最終補綴・修復装置の設計を行う過程を示し、最終補綴装置装着までのステップを提示した。

3)「Esthetic Rehabilitation utilizing Orthodontic treatment & Laminate Veneer Restoration」(奥田浩規氏、兵庫県開業)
 本演題では、32歳男性患者の「前歯のすり減りを治したい」という主訴に対し、矯正治療・歯周形成外科・ラミネートベニア修復にて機能と審美を考慮した咬合再構成を行った症例を提示。咬耗に関しては種々の検査から化学的なものではなく力によるものと診断し、またその左右差については態癖の影響であるとして認知行動療法の適応とした。その後、前歯の咬耗とアンテリアガイダンスの不正、臼歯の若干の咬耗と上下前歯の挺出をプロブレムリストに挙げ、歯周形成外科および矯正歯科治療を経て行ったオクルーザルベニアを多数用いたミニマルインベイシブな治療結果を示した。

 また、各演題の終了後には、収録会場に臨席していた西山英史副会長(東京都開業)をはじめとする日本臨床歯科学会東京支部の役員諸氏による演者らへの質問、助言が多くの時間を割いて与えられ、若手会員らに熱いエールを送る同学会の姿勢が垣間見えた。

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