• ホーム
  • トピックス
  • SOLA DH-DIGITAL SOLUTIONS exocad&3Dprinter セミナー、対面・動画配信のハイブリッド形式で開催

2022年11月12日掲載

7名の歯科技工士が登壇し盛況となる

SOLA DH-DIGITAL SOLUTIONS exocad&3Dprinter セミナー、対面・動画配信のハイブリッド形式で開催

SOLA DH-DIGITAL SOLUTIONS exocad&3Dprinter セミナー、対面・動画配信のハイブリッド形式で開催
 さる2022年11月12日(土)、13日(日)の両日、デンケン・ハイデンタル セミナールーム(京都府)において「SOLA DH-DIGITAL SOLUTIONS exocad&3Dprinter セミナー」(デンケン・ハイデンタル主催、奥野裕志代表取締役社長、以下、デンケン社)が開催され、事後2022年末までオンデマンド形式での動画配信が行われた。会場には約130人が参集し、配信にも多数の歯科医師・歯科技工士からのアクセスがあったとのこと。本セミナーは、デンケン社が展開するデジタルデンティストリー関連商品群のブランド名「SOLA」(Seed of laboratoryの略)を冠したもので、演題にはそれらを使いこなすための知識やヒント、そして実例や最新情報が多数盛り込まれていた。以下に、演者・演題とその概要を示す。

(1)「REDEFINING DENTISTRY by 3D printing」(Mr. Jeroen Klijnsma、歯科技工士、Dentiq、オーストラリア)
 本演題では、オーストラリアにて歯科用CAD、CAMおよび3Dプリンティングなどに関するトレーニングを主体としたオフィスを営む、歯科技工士のKlijnsma氏が来日して登壇。3時間あまりにわたった講演では、「最新のイノベーションと最適化されたワークフロー」「最新の開発とソフトウェア」「AIとコンピュータラーニング」「最新のレジンの開発」「3Dプリントで何ができるか」「3Dデンティストリーの力」「3Dプリントの利益」「デジタル義歯」「CADによる義歯の設計」「3Dプリンターの基礎と仕組み」「3Dプリントを始めるために必要なもの」「CAMソフトウェアについて」「Tips & tricks」の13テーマについて詳説。Medit i700(Medit)やTrios 5(3shape)といった最新の口腔内スキャナーに関する動向から、各社のCAD/CAMソフトウェアやレジンの紹介、さらにそれらを用いた総義歯の製作ステップなど、歯科における3Dプリンティングに関しては最新情報をほぼ網羅したといえる充実した内容が示された。

(2)「デジタル総義歯の製作〜現状の臨床と課題〜」(野澤康二氏、歯科技工士、シンワ歯研 関東支社)
 本演題では、総義歯製作に関するデジタル/アナログ共通の要諦について、また演者が現在総義歯製作に用いているミリングマシンのシステム(DWX-52DCi、CA-DKシリーズ〔いずれもDGSHAPE,デンケン社〕、Millbox〔CIMsystemデンケン社〕)および3Dプリンターのシステム(NextDent5100、3D Sprint〔いずれも3D Systemsデンケン社〕、DH Printシリーズ〔デンケン社〕)について示した後、それぞれに異なるアプローチを行ったデジタル総義歯症例を7例提示。既存の義歯の複製義歯や試適用義歯の製作、即時義歯の製作や訪問診療に口腔内スキャナーを持ち込んでの複製義歯の製作など、3Dプリントとミリング法を総義歯臨床で縦横無尽に使いこなしている実例を示した。また、それぞれの方法によって得られるメリット(CA-DKシリーズを用いた人工歯排列済みブロックの自作や、複製義歯製作における製作過程の簡略化など)についても示したうえで、今後は部分床義歯や金属床への対応などが課題になっていくであろうとした。

(3)「大型ラボの臨床現場におけるデジタル化への取り組みと今後の展望」(愛甲文音氏、林 大介氏、ともに歯科技工士、和田精密歯研)
 本演題では、日本屈指の大型歯科技工所である和田精密歯研に勤務する2氏が相次いで登壇。前半では愛甲氏が和田精密歯研におけるデジタル化への取り組みと今後の展望について、後半では林氏が実際の臨床現場で培ったノウハウや課題について紹介した。1990年代に倣い加工機のCelay(Mikrona Technologie)を導入したことにはじまり、現在では17台のNextDent5100をはじめとするデジタル関連装置を多数導入するまでの道筋や、多くのスタッフの協働によってデジタル技工を行うための教育制度やラボ運営のノウハウ、専任のCADデザイナーの育成や技工作業の「デジタル転換率」の推移など、大型技工所ならではの興味深い内容が示された。

(4)「3Dプリンター DHソニックマイティ4Kによる臨床とその応用」(伊藤彰英氏、歯科技工士、ていね社)
 本演題では表題のとおり、演者が使用している3DプリンターのDHソニックマイティ4K(Phrosen,デンケン社)の特徴と使用法について主に示された。「3Dプリンターの使用遍歴と比較」「ソニックマイティ4Kの利点」「3Dプリンターの有効活用法」「再製作を防ぐexocad活用法」の4テーマに分け、2014年に初めての3Dプリンターを導入してから現在に至るまでの経緯、DHソニックマイティ4Kのスピード・精度およびデンケン社のレジンのマッチングの良さ、切削加工後のジルコニアをシンタリングする前に形態修整する際に便利な「ジルコニアシンタリング前調整用モデル」の提案、インプラント埋入用サージカルガイド製作のノウハウ、exocadのCADソフトウェアを印象体や模型の精度確認に用いることによる再製防止への提案などについて示し、多用途に使用できる3Dプリンターは複数台を並行して使用することが効果的であること、またレジンや消耗品のコストパフォーマンスも重要であることなどを述べて締めくくった。

(5)「バーチャルアーティキュレーターの活用+矯正CADソフトの活用 ~模型レスの時代に咬合調整の少ない補綴装置を作る~」(前川泰一氏、歯科技工士、前川デンタルラボ)
 本演題では、これまでに咬合に関して多くの研鑽を積んできた前川氏が登壇。デジタルデンティストリーの進展とともに「模型レス」が広がる現在にあってはバーチャルアーティキュレーターについて知ることが重要としたうえで、咬合の基礎知識やフェイスボウトランスファーの重要性やデジタルフェイスボウの応用、そしてソフトウェア上でシミュレートできる各種ブランドの咬合器について紹介。さらに、口腔内スキャナーデータからのバーチャル咬合器へのマウントについて、インサイザルテーブルの設定や下顎運動時のモデルの調整法などのステップをわかりやすく示し、調整の少ない補綴装置製作のためのヒントを提示した。また、矯正技工用のCADソフトの現状や3Dプリンターの活用法などについても併せて示した。

(6)「開業1年でデジタル設備をフル導入して、金銭的課題と変化した技工への取り組み」(川添大資氏、歯科技工士、Bloom Smile Dental Laboratory)
 本演題では、大阪府や東京都内での勤務を経て2020年に奈良県内に歯科技工所を開業した川添氏が登壇し、「デジタル化における不安と金銭的課題」「課題の解決法と取り組み」「Freedom UHD(DOF、デンケン社)」「DWX-52D(DGSHAPE、デンケン社)」「ジルコニアディスクZircoArt2(デンケン社)」の5つのテーマを提示。冒頭からの2つのテーマに関しては、これまでアナログ技工を主に行ってきた演者がいちからデジタルを学ぶ時間を確保することやその間の人材不足、そしてデジタル機器の導入資金を返済できるための仕事量の確保といった不安をいかにして解消していったのかが説明され、1日7症例のデザインが行えるようになることを目標としたこと、また顧客に対して新しく行えるようになったことをアピールしていくことなどで克服していったと述べた。また、以後はデンケン社から導入したそれぞれの機材・材料につき、新規ユーザー目線での使用感について紹介していた。

(7)「SOLA NextDent5100を用いたデジタルワークフロー」(武田 航氏、歯科技工士、Johnny's Factory)
 本演題ではまず、「CAMといえばミリング」だった時代から、現在のように3Dプリンターという選択肢が現実になってきた過程と自らのラボの機材の移り変わりについて紹介。その中で、演者が2015年に初めて導入した3Dプリンターから、現在のNextDent5100を選択するまでの道筋を示し、現在使用中のNextDent5100の特徴として豊富な材料、精度の高い造形、およびコストパフォーマンスの3点を挙げた。また、3Dプリンターとミリングマシンそれぞれのメリット・デメリットや、3Dプリンターのオープンシステム・クローズドシステム(プリンターの製造メーカーのインクしか使用できないのか、他社のインクも注入できるようになっているのかの違い)に対する考えかた、3Dプリント模型製作のワークフロー、重合後の模型の保管方法について(冷暗所での保管が精度を保つ)、複数のSTLデータを組み合わせた模型の設計法などについて多数の実例とともに示した。

関連する特集