2023年2月5日掲載

250名近い参加者を得て盛会に

松風デジタルデンチャーカンファレンス 2023開催

松風デジタルデンチャーカンファレンス 2023開催
 さる2月5日(日)、ベルサール秋葉原(東京都)において、松風デジタルデンチャーカンファレンス 2023(株式会社松風主催)が開催された。当日は250名近い参加者が会場に集い、本カンファレンスの主題である「デジタルデンチャー」への関心の高さがうかがえた。

 本カンファレンスでは、鈴木哲也氏(医歯大名誉教授)が座長を務め、池邉一典氏(阪大教授)、玉置勝司氏(神歯大教授)、上田貴之氏(東歯大教授)の3名がシンポジストとして登壇した。

 開会の挨拶のあと、まず鈴木氏が登壇し、本カンファレンスの趣旨とともに、先月発売されたばかりの「S-WAVE 3Dプリンター IMD-S」を含む、松風のデジタルデンチャー製作システムの概要や従来法と比較しての利点・欠点などを紹介した。

 つづいて、池邉氏が登壇し、「成功例に学ぶ:デジタルデンチャーにおける経験知の活かし方」と題して講演した。池邉氏は、データの保存性および形態再現性が歯科におけるデジタル化の利点であると強調。患者の要望により複製義歯を製作した症例を紹介し、口腔内で良好に機能している現義歯とまったく同じ義歯を予備として製作できることは超高齢社会におけるデジタルデンチャーの大きな利点であり、今後、このようなニーズが増えていくのではないかと述べた。

 玉置氏が「これからの100年、アナログ義歯のデジタル・イノベーションと高齢者の健康獲得に向けて」と題して登壇した。フルアーチ連結型人工歯や新規3Dプリンター用義歯床材料に関する基礎的研究の成、および3Dプリント義歯床におけるバキュームフィット処理の有効性を紹介。また、昨今では食品もプリントできるという3Dプリント技術の革新性と発展性に大いに注目しているとし、デジタルデンチャーをはじめとする歯科医療のデジタル化が、超高齢社会における高齢者の健康獲得に寄与する未来に期待を寄せた。

 上田氏が「デジタルデンチャーのリアル:臨床例と応用法」と題して登壇。上田氏は、「3D printed dentureは、すでにリアルワールドにあり!」と述べ、自身の日常臨床にどのように3D printed dentureを取り入れているか、その詳しい製作過程とともに解説した。また、3D printed dentureは利点も多いがトラブルも経験しており、その1例として義歯床が破折した症例を紹介。レジン床義歯と比較して割れやすいというわけではないが、割れ方が違うことを紹介した。

 最後に、再び鈴木氏が登壇し「デジタルデンチャーに活かされる従来法の技と知恵」と題して講演を行った。鈴木氏は、従来からの義歯製作の考え方や技術をどのようにデジタルデンチャーに活かしていったら良いかを症例を交えて解説。さらに、技工サイドとやりとりすべきポイントやトラブル(破折)を回避するための設計上の工夫などを紹介した。

 すべての講演が終了した後に行われた座談会では活発な意見交換がなされ、デジタルデンチャーのさらなる発展に期待が高まった。

関連する特集