2023年4月16日掲載

「歯科の未来、これから私たちができること」をテーマに

ライオン歯科衛生研究所、予防歯科セミナーを開催

ライオン歯科衛生研究所、予防歯科セミナーを開催
 さる4月16日(日)、ライオン歯科衛生研究所が、「歯科の未来、これから私たちができること」をテーマに予防歯科セミナーを開催した。当日は、ライオン株式会社本社(東京都)に100名が参集したほか、遠方からでも視聴できるようにWebによるライブ配信も行われ、約1,800名が視聴した。

 当日はまず、濱 逸夫氏(ライオン歯科衛生研究所理事長)が、開催挨拶としてライオン歯科衛生研究所が開催してきた予防歯科セミナーのこれまでの経緯と、本会の目的である「患者に寄り添うMy歯科衛生士の育成」についての抱負を述べた。その後は、3題の講演が行われた。

 講演1は、「チーム医療で何を診るか」と題して、長谷川嘉昭氏(東京都開業)と、川崎律子氏(歯科衛生士、長谷川歯科医院)が登壇した。両氏は、歯周治療による戦略的な診断を考えることを本講演の目的としたうえで、歯科医師の目線と歯科衛生士の目線をバランスよく診療に活かすデンタルカンファレンスの重要性を説いた。

 講演2は、「飲み込めていますか? 咀嚼のそのあと」と題して、耳鼻咽喉科の医師でもあり歯科医師でもある植草康浩氏(千秋双葉会理事)が講演した。氏は、歯科医師のころは喉の奥を見ておらず、医師になってからは歯を見ていないことに気付いたと述べた。そのうえで、参加者に向けて、患者さんと接する際は診療用ユニットを倒す前に「食事をとれていますか?」などの摂食に関する質問をし、倒してからは喉の奥も確認してほしいと呼びかけた。また、嚥下のスクリーニングとして歯科診療所でも検査可能な反復唾液嚥下テストのやり方と、ペットボトルを使った簡単な嚥下の間接訓練を披露した。

 講演3は、「患者さんに伝わるコミュニケーション」と題して、石川ひろの氏(帝京大大学院公衆衛生学研究科教授)が登壇した。氏はまず、2通りの見方ができるイラストを聴衆に示し、同じものを見ていても人によって見え方が変わる場合もあることを示した。次に、言葉のみによる伝達で図を描くワークを通じて、コミュニケーションの難しさを参加者に体験させた。そのうえで、コミュニケーションにおいては相手をよく知ること、わかりやすく伝えること、行動につなげられるような説明にすること、情緒的な手掛かりを見逃さないこと、相手の理解を確認すること、フォローアップをすることが大切であると述べた。

 講演終了後、「求められるMy歯科衛生士になるために」と題してパネルディスカッションが行われた。コーディネーターの西沢邦浩氏(日経BP総合研究所客員研究員)が講演全体の総括をした後、事前に参加者から寄せられた質問にコミュニケーションに関するものが多かったということで、主にそのテーマについて質疑応答が行われた。講師陣からは、コミュニケーションで大事なことは話すことではなく相手を知ろうとすること、人と人の付き合いとして患者さんを受け入れ、患者さんに認めてもらうことといった回答がなされた。

 なお、本セミナーを振り返るオンデマンド配信(動画配信)が4月24日(月)より配信予定である。

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