2023年4月23日掲載

松田謙一氏が「全部床義歯」をテーマに講演

大阪大学歯学部同窓会、第106回学術講演会を開催

大阪大学歯学部同窓会、第106回学術講演会を開催
 さる4月23日(日)、大阪大学歯学部同窓会(平野裕之会長)による第106回学術講演会が、大阪大学歯学部記念会館(大阪府)およびWeb配信のハイブリッド形式で開催された。今回は講師に松田謙一氏(大阪府開業)を迎え、「良く噛める全部床義歯製作に必要なポイント―全部床義歯臨床をゼロから学ぶOne-dayセミナー―」をテーマに講演が行われた。

 氏は、全部床義歯製作に必要なポイントを「概形印象」「最終印象」「咬合採得」「試適」「装着、調整」「リコール」の6つのパートに分けて解説。義歯製作において正しい形を模索するための第一歩は概形印象であり、全部床義歯の形態の8割がこの工程で決まるとして、その重要性やトレー選択のコツ、印象法の選択基準などを特に詳しく示した。印象法の選択では、単一の印象材のみで行う単一印象法、複数の印象材を用いる連合印象法の2つを紹介。特に連合印象法は、顎堤形態が不規則な場合やフレームの形態が適合しない場合には第一選択となり、慣れていない人でも比較的優れた印象採得ができる方法だとした。

 また、咬合採得についても、誤ってしまうと義歯がまったく機能しなくなるうえに修正がきかないため、全部床義歯製作において失敗が許されない工程であると強調。そこで、咬合採得の失敗回避のためのポイントや後退位を用いて適正な水平的顎間関係を決定・確認する方法を紹介した。適正な水平的顎間関係を決定・確認する方法は8つあり、なかでも、患者に下顎を前後に動かしてもらい後退位のまま閉口できるようにする方法「前後方向運動の練習後の閉口指示」を氏は推奨。ただし、複数の方法を用いて咬合高径を取り、水平的顎間関係を決定することが大事だとした。

 講演後には、会場およびWebから多数の質問があがり、総義歯への関心の高さがうかがえた。

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