2023年5月28日掲載

歯科技工士を中心に約500名が大阪に参集

Digital EXPO 2023 in Osaka開催

Digital EXPO 2023 in Osaka開催
 さる5月28日(日)、オービックホール(大阪府)において、IOS digital college(辻 貴裕主宰)、S.T.F Digital Academy(藤松 剛主宰)が共同開催するDigital EXPO 2023 in Osakaが開催された。本会は当初250名の定員を予定していたが、早々に上限に達したことで、急遽500名まで定員を増やして開催されることとなった。

 最初に登壇したのは、「IDS2023から読み解くデジタルの潮流と、我々が世界に発信できること」と題して講演を行った辻氏(歯科技工士、dental BiOVISION)。今年3月にドイツのケルンで行われた世界最大のデンタルショーであるIDS2023で、実際に辻氏が見てきたさまざまなデジタル関連の商品を紹介しつつ、事前に受け付けていた聴講者の質問に答えるかたちで今後のデジタルデンティストリーに対する見解を述べた。

 続いて登壇したのは「デジタル技工のKFS(Key Factor for Success)は、セキュリティとコンプライアンス」と題して講演を行った山下茂子氏(歯科技工士、Dental Digital Operation)。歯科界のデジタル化が進むなかで、今後はよりデジタル関連のセキュリティ意識が重要になるとし、具体的な方法を解説した。

 3番目に登壇したのは「大型ラボが取り組むデジタル化と教育について」と題して講演を行った愛甲文音氏(歯科技工士、和田精密歯研)。日本有数の規模を誇る和田精密では、どのようにデジタル化を進めているのかを解説した。

 4番目に登壇したのは「クラウンブリッジ専門歯科技工士がデザインする、デジタルデンチャー。そこから見える今後の課題と展望」と題して講演を行った新町愛子氏(歯科技工士、S.B.Labo)。普段はクラウンブリッジを専門に担当している新町氏が、CAD/CAMシステムを活用してインプラントを併用したパーシャルデンチャーを初めて製作したケースを紹介した。

 5番目に登壇したのは「新時代到来デジタルが変える歯科治療と歯科経営~自費率100%、夕方5時で終わるクリニック~」と題して講演を行った岩下太一氏(大阪府開業)。自身が行っているデジタルを活用した合理的歯科治療と合理的歯科経営について、具体的な考え方と手法を解説した。

 6番目に登壇したのは「少人数ラボにおけるデジタルとの付き合い方」と題して講演を行った井上陽介氏(歯科技工士、IEDITION)。スキャナーとCADソフトのみを導入し、ミリング工程を外注している理由を説明しつつ、デジタル時代の小規模ラボの選択肢を提示した。

 7番目に登壇したのは「モデルレス時代を生き抜くために知っておきたい精密加工の基本のキ」と題して講演を行った森 拓也氏(歯科技工士、カロス)。ミリングマシンの操作を覚えるだけでは望んだ精度を得ることはできないとし、精密加工において重要な要素として振動対策・熱対策・工具を挙げ、それぞれの基本的な考え方を解説した。

 8番目に登壇したのは「診断にデジタルを活用することで何ができるのか」と題して講演を行った上原芳樹氏(歯科技工士、Fine)。アナログとデジタルの大きな違いはデータのマッチングと断面がチェックできることであるとし、それらをどのように臨床に活用しているのかを解説した。

 9番目に登壇したのは「インハウスvsアウトソーシング~デジタル時代におけるテクニシャンとの付き合い方~」と題して講演を行った山羽 徹氏(大阪府開業)。自身の経験から、インハウスとアウトソーシングのメリットやデメリットを比較し、歯科医師と歯科技工士の相互理解と協働によるデジタルリテラシーの向上が必要であるとまとめた。

 最後に登壇したのは「歯科業界のDXに向けてのマインドシフト」と題して講演を行った藤松氏(歯科技工士、S.T.F)。診断・スキャン・デザイン・ミリング・3Dプリントの各工程におけるポイントを挙げ、モデルレスのポイントは適合・咬合・形態安定性であると述べた。

 当初の定員の倍となる500名を集めた本講演会は、歯科界のデジタル化に対する注目度の高さを裏付けるものとなった。そのなかで、さまざまな切り口でデジタルに関する情報を得ることができ、受講者はおおいに今後の参考になったのではないかと思われる。

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