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2009年2月28日

抗血栓療法患者の抜歯に対する医科・歯科のコンセンサスミーティング開催される

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さる2月28日(土)、東京歯科大学水道橋病院血脇記念ホールにて、抗血栓療法患者の抜歯に対する医科・歯科のコンセンサスミーティング(日本有病者歯科医療学会、日本老年歯科医学会、日本口腔外科学会主催)が開催された。

 現在、日本循環器学会の「抗凝固・抗血小板療法のガイドライン」では、ワルファリンや抗血小板薬の内服継続下で抜歯の施行を推奨しているが、臨床の現場では抜歯時に抗凝固薬、抗血小板薬を中断している医師、歯科医師が多いことがあげられる。そこで医科と歯科医師による整合性のあるガイドラインを作成するために開催された。

 医科側からは、発症すると致死率の高い重篤な血栓塞栓症を回避するためにも、抗血栓療法継続下での抜歯を望みたいと訴えた。それに応え歯科側からは、矢郷 香氏(慶大学医学部歯科・口腔外科、抗血栓療法ガイドライン推進ワーキンググループ長)は、「抗凝固療法患者の抜歯に関する医師を含めたガイドライン案」として、(1)普通抜歯であれば、PT-INR3以下ならワルファリン継続下に抜歯可能、(2)抗血小板薬を併用している場合、両剤とも継続する、(3)PT-INRの測定は、原則、抜歯当日にする、(4)抜歯後、局所止血剤を使用し緊密に縫合し、圧迫止血する、(5)重度の肝機能障害、血液疾患を有する患者では出血のリスクが高いので、止血床などを準備するなど止血管理を慎重に行う、(6)局所止血方法で止血困難な場合には医師と連繋し、ワルファリンの中断、全身的な止血方法を行うとまとめた。

 最後に、会場からの質問に対し、演者が応えるという討論会が行われた。このコンセンサスミーティングを契機として、患者がより安全な医療を受けられるように、確かなガイドラインが早くできることを望みたいものである。

医科側演者:小川 聡氏(慶大医学部循環器内科)、矢坂正弘氏(国立病院機構九州医療センター脳血管内科)、中溝ひかる氏(慶大病院循環器内科)

歯科側演者:白川正順氏(日歯大附属病院口腔外科)、宮田 勝氏(石川県立中央病院歯科口腔外科)、森本佳成氏(阪大大学院歯学研究科総合機能口腔科学専攻高次脳口腔機能学講座)、矢郷 香氏(慶大学医学部歯科・口腔外科学教室)