2023年9月15日掲載

「国民から信頼される口腔インプラント治療―口腔機能回復によるQOL向上への貢献―」をテーマに

(公社)日本口腔インプラント学会、第53回学術大会を開催

(公社)日本口腔インプラント学会、第53回学術大会を開催
 さる9月15日(金)から17日(日)までの3日間、札幌コンベンションセンター(北海道)において、第53回公益社団法人日本口腔インプラント学会学術大会(日本口腔インプラント学会 第43回東北・北海道支部学術大会併催/横山敦郎大会長、細川隆司理事長)が「国民から信頼される口腔インプラント治療―口腔機能回復によるQOL向上への貢献―」をテーマに開催され、3,500名を超える歯科医療従事者が参集した。

 今大会では特別講演、シンポジウム、教育講座、イブニングセミナー・モーニングセミナーなどの各種セミナー、一般口演、ポスター発表などプログラムは多岐にわたり、展示ブースも含め終日盛況となった。以下に一部のシンポジウムを抜粋して報告する。

 シンポジウム5「インプラント治療を行う際に必要な全身的知識」では、小林 恒氏(弘前大)、西郷慶悦氏(岩手県開業)の座長のもと、米永一理氏(東大大学院)、栗田 浩氏(信州大)、岸本裕充氏(兵庫医科大)が登壇。米永氏はインプラント治療に関連する全身疾患の治療方針について解説し、全身疾患を正しく把握して歯科医科連携をしていくべきだと述べた。栗田氏は抗血栓薬を内服している患者への対応を詳説し、自身の経験のみに頼るのではなく科学的根拠も鑑みて治療を進めるべきであるとした。最後に、岸本氏は薬剤関連顎骨壊死について講演し、骨粗しょう症の治療薬の選択や骨吸収抑制剤の休薬デメリットなどを述べた。

 シンポジウム8「超高齢社会におけるインプラント治療の在り方」は、野村智義氏(日本歯科先端技術研究所)、越智守生氏(北海道医療大)の座長のもと、柴垣博一氏(神奈川県開業)、萩原芳幸氏(日大)、水口俊介氏(医歯大大学院)が登壇した。柴垣氏は高齢化を見据えたインプラント治療について、自身が行っている地域医療への取り組みを述べた。萩原氏は訪問診療でのインプラント調査などを述べ、超高齢社会におけるインプラント治療は、低侵襲、単純な構造、清掃性の重視、環境変化への対応、使用システムの5つが重要なポイントであるとした。水口氏は、インプラント治療は高齢者の口腔機能低下への福音となるとして、治療時に役立つ口腔機能モニターや、舌や口唇の巧緻性を評価する検査法であるオーラルディアドコキネシスを紹介しつつ、できるだけ多くの高齢者が社会活動などを休止せず健康寿命を延伸できるようにしたいと述べた。

 なお、次回学術大会は、きたる2024年11月1日(金)から3日(日)の3日間、国立京都国際会館(京都府)において、阪本貴司大会長(大阪口腔インプラント研究会施設長)のもと開催予定。

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