2023年9月17日掲載

「口腔を中心とした小児医療体制の構築を目指して」をテーマに

第42回日本小児歯科学会中部地方会大会開催

第42回日本小児歯科学会中部地方会大会開催
 さる9月17日(日)、じゅうろくプラザ(岐阜県)において、第42回 日本小児歯科学会中部地方会大会(齊藤一誠大会長、佐野正之会長)が開催され、300名以上の歯科医療者が参集した。大会テーマは「口腔を中心とした小児医療体制の構築を目指して」。口呼吸をはじめ、今の小児が抱える口腔機能の問題への対応と、健全な口腔機能育成のための知見を10名あまりの演者が披露した。

 午前の教育講演Ⅱでは、齊藤氏(朝日大歯学部教授)の座長のもと、杉山 剛氏(医師、尾張こどもの睡眠・呼吸・アレルギークリニック院長)が「口呼吸から考える小児の口腔と医科歯科連携」の演題で講演した。氏によれば、「子どもの口呼吸を本気で治したい」と考えたとき、小児科医と歯科医師が互いの専門分野で協力し合うことが大切だという。

 そこで、まずは小児科医が口呼吸の子どもにどのような検査や治療を行っているか理解してもらうべく、小児科での鼻呼吸障害およびそれに端を発する小児の閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)治療の実例が詳説された。小児科医は、口呼吸の最大の原因は「鼻呼吸障害」――アデノイド増殖や口蓋扁桃肥大、アレルギー性鼻炎と考える。しかしその一方、歯列や咬合、口腔筋機能といった「口腔」への視点はない。そのため、歯科の視点も必要となると強調した。

 午後の「乳幼児の口腔機能育成の必要性 口腔機能育成のための離乳食指導の実際・実践」では、岐阜県歯科衛生士会の歯育て支援ボランティア、「歯はっ子くらぶ」の歯科衛生士らが講演した。歯はっ子くらぶは、乳幼児のカリエスや口腔機能発達不全の予防を学び、家族全員の健康意識を向上させることを目的とした教室を一般向けに開催している。

 講演は、教室での「離乳食指導」を体験してもらうワークショップ形式で行われた。参加者たちは、哺乳~離乳初期~離乳完了期までの段階ごとに、(1)乳幼児の口腔機能の発達レベル、(2)可能な口の動き、(3)段階ごとに適切な食形態、(4)食べる練習をさせる食事介助のノウハウを学ぶとともに、各テーブルに用意されたヨーグルトやバナナなどを実際に口にしながら、乳幼児の口腔機能を模した口の動かし方を体験した。食事介助の仕方を学ぶために、同じテーブルの参加者がスプーンで食べさせ合うほほえましい一幕もあった。
 
 そのほか、小児の免疫異常疾患における小児科と口腔外科の連携や、コロナ禍後の子どもたちのお口の変化とその対応、0歳時からの口腔機能育成などの講演があった。まさに「口腔を中心とした小児の新しい医療体制の構築」のために、有意義な情報が供された1日だった。

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