2023年10月13日掲載

「グローカルな歯周治療」をテーマに

第66回秋季日本歯周病学会学術大会開催

第66回秋季日本歯周病学会学術大会開催
 さる10月13日(金)、14日(土)の両日、出島メッセ長崎(長崎県)において、第66回秋季日本歯周病学会学術大会(吉村篤利大会長、沼部幸博理事長)が「グローカルな歯周治療」をテーマに開催された(2023年11月1 日から11月30日の期間、オンデマンド配信予定)。

 特別講演Ⅰでは、「Peri-implantitis: A chronic, non-healing wound」と題して、Purnima Kumar氏(米国・ミシガン大)が登壇。インプラント周囲炎およびその治療を紐解くにあたり、細菌感染、インプラント周囲炎と周囲粘膜炎の違い、インプラント周囲粘膜炎の可逆性、健康なインプラント周囲組織のマイクロバイオーム、インプラント周囲炎のリスクの5つのトピックスで解説した。インプラント周囲のマイクロバイオームがインプラント周囲溝の発達にきわめて重要であること、インプラント周囲炎は慢性の治らない傷に似ていることなどを述べた。

 歯科衛生士シンポジウム「ひとりひとりの生涯に寄り添ったSPT―地域における歯科衛生士の役割―」では、金子高士氏(福歯大口腔医療センター)と茂木美保氏(歯科衛生士、住友商事歯科診療所)の座長のもと、福田英輝氏(国立保健医療科学院)、江部由佳梨氏(歯科衛生士、医療法人畠山歯科医院)、久保山裕子氏(歯科衛生士、福岡ハートネット病院)が登壇した。

 なかでも江部氏は、「地域完結型歯科医療における認定歯科衛生士の役割―離島からの発信―」と題して、鹿児島大学病院勤務時代の経験や現在勤める奄美大島の歯科事情から、歯科衛生士に求められる役割を考察した。鹿児島県は離島人口数が全国1位で、質の高い歯科医療サービスを受けられない地域が少なくない。離島に出向いて歯科治療を提供する「離島歯科巡回診療」では、幅広い知識や高い技術力、コミュニケーション力、役場スタッフや看護師との連携などが歯科衛生士に必要であるとした。また、歯科衛生士の枠にとらわれず、さまざまな視点からアプローチすること、できることの限界を見極め、他の専門家へつなげるための判断力を養うことなどの重要性も説いた。
 
 この他にも、本大会では2日間にわたり、特別講演、シンポジウム、市民公開講座、一般演題口演、ポスター発表、ランチョンセミナーなどが催された。

 なお、第67回春季日本歯周病学会学術大会は、きたる2024年5月24日(金)、25日(土)の両日、ビッグパレットふくしま(福島県)において、高橋慶壮大会長(奥羽大)のもと開催予定。

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