2023年10月15日掲載

「MIDの理念に沿った根面う蝕の長期マネジメント」をテーマに

日本ヘルスケア歯科学会、ヘルスケア・オータムセミナー2023開催

日本ヘルスケア歯科学会、ヘルスケア・オータムセミナー2023開催
 さる10月15日(日)、ヘルスケア・オータムセミナー2023(日本ヘルスケア歯科学会主催、高橋 啓代表)が、AP浜松町(東京都)とWeb配信のハイブリッド形式にて開催された。本セミナーはオピニオンメンバー会議と併催の形式で開催され、久保至誠氏(長崎大歯学部客員研究員)が、「MIDの理念に沿った根面う蝕の長期マネジメント」と題して、講演を行った。

 久保氏は高齢者人口の増加を上回る割合で高齢者の受診は増えていることを述べたうえで、今後う蝕を有する高齢者はますます増え、根面う蝕は大きな問題になると説明した。また、近年起こった医療のパラダイムシフトとしては、患者もインターネットなどを通じた医療情報の収集が可能になったこと、医療の標準化が進んだことなどを挙げた。そして、1990年ごろからEBM(evidence based medicine)が広まったが、EBMの実践には科学的根拠、臨床的専門技能、患者の意向や価値観の3つを統合することが重要になると述べた。さらに、患者との会話から生まれるNarrative(物語)でEBMを補完することの大切さを語った。

 セミナーの後半では、根面う蝕がやっかいである6つの理由(臨界pHが高い、治療が困難、セルフケアが困難、予後が不安、自覚症状がない、早期発見が困難)を挙げ、歯冠部う蝕と根面う蝕で気を付けるべき点の違いやグラスアイオノマーセメントとコンポジットレジンでの修復の予後の違い、フッ化ジアンミン銀の効果について、自身の臨床写真を供覧して解説した。

 本セミナーの最後には質疑応答の時間が設けられ、NCCL(noncarious cervical lesion)の原因と対策、サホライドを使用している国々の事情などについて活発な議論が行われ、盛況のうちに幕を閉じた。

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