2023年10月29日掲載

「MTA meeting~症例で考察する最適な臨床応用~」をテーマに、約3年ぶりとなる現地開催

第22回歯内療法症例検討会開催

第22回歯内療法症例検討会開催
 さる10月29日(日)、第22回歯内療法症例検討会(株式会社Toppy主催)が、東京医科歯科大学歯学部特別講堂(東京都)およびWeb配信にて開催された。本会は吉岡隆知氏(東京都開業)が中心となり、歯内療法症例をさまざまな角度からディスカッションして日常臨床のヒントを得ること、また治療へのモチベーションを維持することを主目的に開催されているもの。今回は「MTA meeting~症例で考察する最適な臨床応用~」をテーマに、現地では約3年ぶりとなる開催となった。当日は前述のテーマを3つのパートに分け、症例報告とそれぞれのテーマに関する各論が講演された。

 「Part 1 穿孔封鎖」では、小道俊吾氏(兵庫県開業)が穿孔部からの薬剤逸出へ外科的歯内療法を行った症例、吉岡隆知氏が根分岐部の穿孔にMTA根管充填を行ったが再発を繰り返した症例を報告し、山内隆守氏(東京都開業)はMTAを用いた穿孔封鎖に関して解説を行った。

 なかでも吉岡隆知氏は、MTA根管充填後に炎症が再発した原因について明確なことはわからないが、年数経過とともに再発率が高くなる論文データを提示し、長期経過では再発する可能性が高いことを示した。また自身の症例では応力によってひずみが生じたことが原因である可能性を示唆した。

 「Part 2 MTA根管充填」では、大森智史氏(医歯大)が根尖孔外の状態を考慮してMTA根管充填を行った症例、吉岡俊彦氏(広島県開業)が根尖部の形態を考慮したうえでMTA根管充填を行った症例をいくつか報告し、馬場 聖氏(昭和大)はMTA根管充填に関して解説を行った。

 馬場氏は、MTA根管充填のメリットである封鎖性、生体親和性、抗菌性を知っておくことはもちろんのこと、メリットだけではなく、除去性や操作性などのデメリットも把握し、実際に使用する際にはそれらを考慮する必要があることを述べた。

 「Part 3 外科的根管治療におけるMTAセメント」では、窪谷拓馬氏(神奈川県勤務)が逸出したガッタパーチャを逆根管治療で除去した症例、八尾香奈子氏(フリーランス)が大きな根尖病変のある根未完成歯に逆根管治療を行った症例を報告し、牧 圭一郎氏(医歯大)は逆根管充填から考える逆根管治療のプランニングについて解説を行った。

 牧氏は、逆根管治療における根尖切除位置は逆根管充填を念頭にプランニングすべきであると話し、側枝の位置に応じた根尖切除のプランをいくつか紹介した。また根尖部の封鎖のためには、根管充填材が漏洩しないためにも一定の厚みが必要であることを述べ、3mm以上の逆根管充填が推奨されることを解説した。

 本会では歯内療法を行うなかで幅広く使用されるMTAに焦点を当てたものとなっており、状況に応じた適応症や使用方法、メリット・デメリットが多数の症例とともに解説され、MTAに関して多くのことを勉強できるものとなっていた。また、MTAを使用した長期症例も増えてきたなかで、「MTAは本当に万能なのか?」と再考する機会になったものと思われる。

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