2023年11月1日掲載

「矯正歯科のあるべき姿を再考しよう―伝統と進化―」をテーマに

第82回日本矯正歯科学会学術大会開催

第82回日本矯正歯科学会学術大会開催
 さる11月1日(水)から3日(金)の3日間、朱鷺メッセ新潟コンベンションセンターおよびホテル日航新潟(ともに新潟県)において、第82回日本矯正歯科学会学術大会(齋藤 功大会長・理事長)が開催され、3日間で延べ参加者人数は4,100名を超えた。

 本大会では多様なプログラムが企画された。海外からも演者が招聘され、Peter Ngan氏(米国・ウエストバージニア大教授)による海外教育講演「Maxillary expansion and protraction in the primary, mixed and permanent dentitions(乳歯列、混合歯列および永久歯列における上顎側方拡大と上顎前方牽引)」では、骨格性Ⅲ級の患者には7歳から11歳の間に早期治療を行うことで外科的矯正治療における侵襲が小さくなる、あるいは手術の必要がなくなることが実際の症例とともに示された。Ravindra Nanda氏(米国・コネチカット州立大名誉教授)による海外特別講演「Reflections on the Last Five Decades and Predictions for the Next Fifty Years of Clinical Orthodontics(矯正歯科臨床の過去50年間の振り返りと今後50年間の予測)」では、ヘッドギアや従来の矯正装置、歯科矯正用アンカースクリュー、アライナーといったさまざまな装置を用いた矯正歯科治療におけるバイオメカニクスなどの1980年代に始まった演者の研究発表をたどりながら、矯正歯科臨床の歴史を振り返った。また、今後の矯正歯科の展望においてもエビデンスが重要であることが強調された。

 その他、シンポジウムや臨床セミナー、サテライトセミナー、学術展示や症例展示、ラウンド・テーブル・ディスカッション、口演などがそれぞれ行われ、矯正歯科の基礎研究と実際の臨床における実践について多彩な内容と症例が扱われた。メイン会場をはじめ、いずれの会場もたいへんな盛り上がりを見せた。また、小児科医、形成外科医などからも演者が登壇し、多職種と矯正歯科との連携とその意義についてもふれることのできる、広い視野で矯正歯科を議論できる場となった。

 3日間にわたり行われた本大会は、大会長の齋藤氏と次回大会長を務める森山啓司氏(医歯大教授)による閉会の挨拶で幕を閉じ、盛況のうちに終了した。次回の第83回日本矯正歯科学会学術大会は、きたる2024年10月29日(火)から31日(木)の3日間、パシフィコ横浜(神奈川県)にて開催予定である。

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