2023年11月7日掲載

各スポーツ競技のマウスガード着用状況の調査と意見交換を目的に

自民党・スポーツ歯科を支援する議員連盟、総会を開催

自民党・スポーツ歯科を支援する議員連盟、総会を開催
 さる11月7日(火)、自由民主党本部(東京都)において、自民党スポーツ歯科を支援する議員連盟(遠藤利明会長)による各スポーツ競技のマウスガード着用の現状調査と意見交換を目的とした総会が開催され、国会議員をはじめスポーツ歯学に造詣の深い歯科関係者が参集した。本連盟は2022年5月に設立され、スポーツ歯科に対する総合的・戦略的な施策を進めることを目的に活動する団体である。

 冒頭、会長挨拶にて遠藤氏はマウスガードを装着する意義に言及し、「自身の外傷予防のみならず、相手にケガをさせない」というスポーツを行ううえでの安全確保の目的を強調した。来賓挨拶では、安井利一氏(日本スポーツ歯科医学会理事長)がスポーツデンティストの登録者数が計800名を超えたことにふれ、是澤恵三氏(日本スポーツデンティスト協議会副会長)は近年の歯の喪失要因の変化について説明し、う蝕が減りスポーツ活動による要因が増えていることを述べた。また、末瀨一彦氏(日本歯科医師会常務理事)は日本歯科医師会が実施しているスポーツデンティスト養成講習会にふれ、スポーツデンティスト活躍の場の整備に力を入れる方針を示した。

 次に、森岡裕策氏(日本スポーツ協会専務理事)はスポーツデンティスト養成の概要や趣旨についての解説とともに「選手本来の能力を最大限に発揮するのはもとより、スポーツを楽しむためには歯科口腔領域の理解が重要である」との認識が世間に浸透しつつあると見解を述べた。

 その後は、本連盟加盟団体のなかでも歯科口腔領域の受傷率の高いスポーツ団体の委員を務めるスポーツデンティストとして、宇津宮幸正氏(東京都開業、日本ラグビーフットボール協会メディカル委員会委員)、鈴木浩司氏(日大松戸歯学部准教授、全日本空手道連盟医科学委員長)、上野俊明氏(明海大歯学部社会健康科学講座スポーツ歯学分野、日本ボクシング連盟スポーツ科学委員会委員)の3名からそれぞれの競技現場におけるマウスガードの有用性や課題について説明がなされた。

 なかでも、鈴木氏は空手道の競技中に発生した外傷を供覧し、空手道はスポーツマウスガードの装着が必須の競技であることを強調するとともに、脳への強い衝撃を軽減する効果についてもふれた。また、「開閉口で簡単に落下してしまうマウスガードは十分に機能しているとはいえず、歯科医師が作製した適合性の良いマウスガードの使用が望ましい」とカスタムメイドタイプの使用を促した。

 最後の質疑応答では、他国やコンタクトスポーツ以外のマウスガード使用状況などについて質問が寄せられ、マウスガードの普及への関心の高さがうかがえた。

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