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2023年11月11日掲載

約230名を集める盛況に

日本磁気歯科学会、第33回学術大会および磁性アタッチメント臨床セミナーを開催

日本磁気歯科学会、第33回学術大会および磁性アタッチメント臨床セミナーを開催
 さる11月11日(土)から12日(日)にかけ、東京医科歯科大学(東京都)において、日本磁気歯科学会第33回学術大会および磁性アタッチメント臨床セミナー(日本磁気歯科学会主催、田中譲治大会長、秀島雅之理事長)が開催され、延べ約230名を集める盛況となった。

 初日にはまず、教育講演として高田雄京氏(東北大大学院歯学研究科歯科生体材料学分野)が登壇。「磁性アタッチメントの内部構造と国際標準規格ISO13017」と題し、永久磁石の最大エネルギー積の進歩や、磁性アタッチメントを理解するうえで必要な磁気回路(カップヨーク型とサンドイッチ型)について、また耐食性を確保するための各種材料や取扱い上の注意点、そして歯科用磁性アタッチメントの国際標準規格ISO13017が策定されるまでの流れなどについて解説された。引き続き、臨床評価委員会報告として永田和裕氏(長岡デンタルコミュニケーションズ)が登壇。「健康保険収載後の磁性アタッチメントの使用状況の調査研究」と題し、保険収載後の磁性アタッチメントの使用状況の変化について6施設63症例を調査した結果を報告。保険収載後でも自費症例に用いられている場合が多いこと、患者の大部分は60歳以上であること、またクラスプ併用型の部分床義歯に多く用いられていることなどが示された。その後、会場では一般口演17題が行われた。

 続く2日目は、特別講演として大川周治氏(明海大歯学部機能保存回復学講座有床義歯補綴学分野)がまず登壇。「磁性アタッチメントによる補綴歯科治療の革新 ―保険収載によるパラダイムシフト―」と題し、2021年9月に磁性アタッチメントが保険収載されるに至るまでの厚生労働省との頻回にわたるやり取りの内容や臨床応用のポイント、そしてさらなる学会の活性化に向けた提言として、(1)指導医を設けること、(2)新たな認定医の基準を設けること、(3)保険適応の拡大(ポストキーパーなど)、(4)磁性アタッチメントのさらなる研究開発――の4点を挙げた。

 会場ではその後、一般口演4題を挟み、シンポジウム「磁性アタッチメントの魅力」が行われた。演者は武部 純氏(愛院大歯学部有床義歯学講座)、大山哲生氏(日大歯学部歯科補綴学第Ⅱ講座)、鈴木恭典氏(鶴見大歯学部口腔リハビリテーション補綴学講座)の3氏。それぞれ「当講座での長期経過症例から磁性アタッチメントの魅力を探る」「患者さんの笑顔を取り戻す磁性アタッチメントの魅力」「磁性アタッチメントを適用したCAD/CAMインプラントデンチャーの臨床」と題し、長期経過に対する考察や通法の部分床義歯との設計法の比較、またDENTCA社のデジタルデンチャーに磁性アタッチメントを設置した例など、磁性アタッチメントの可能性および魅力について縦横無尽に語り尽くす内容となっていた。

 引き続き、会場では「磁性アタッチメント臨床セミナー」と題し、大会長講演および特別講演、そしてシンポジウムが行われた。

 大会長講演では、田中譲治氏(千葉県開業)が「IODにおける磁性アタッチメントの活用法」と題して登壇。磁性アタッチメントとIOD(インプラントオーバーデンチャー)の併用を軸に多数の症例を示し、また口腔内スキャナーのコピーデンチャーへの応用法などについても示した。特別講演では、大久保力廣氏(鶴見大歯学部口腔リハビリテーション補綴学講座)が「磁性アタッチメント再考―臨床にどう活かすのか―」と題し、磁性アタッチメントの特徴、適応症と設計、技工術式と臨床術式、および代表的臨床例の4点を示した。

 そして締めくくりとなるシンポジウム「磁性アタッチメントの魅力を活用した臨床」では、前田芳信氏(阪大大学院歯学研究科)、金澤 学氏(医歯大口腔デジタルプロセス学分野)、亀田行雄氏(埼玉県開業)の3氏が登壇。それぞれ、「歯根、インプラントに利用する際に気をつけたいポイント」「インプラントオーバーデンチャーにおける磁性アタッチメント」「有床義歯の維持・支持・把持」と題し、臨床に役立つ設計のための理論やエビデンス、また患者によって異なる欠損歯列の状態に応じた臨床的対応などが多角的に示された。

 なお、会場では企業展示やスタンプラリー、および磁性アタッチメントの合着体験コーナーなども設けられ、併せて盛況となっていた。次期大会は明海大学を主管校に、きたる2024年11月9日(土)から10日(日)の2日間にわたり開催されるとのこと。

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