2024年1月21日掲載

「地域医療から取り組む医療安全の発展を目指して」をテーマに

第8回国際歯科医療安全機構総会・学術大会開催

第8回国際歯科医療安全機構総会・学術大会開催
 さる1月21日(日)、一般社団法人国際歯科医療安全機構第8回総会・学術大会(栗原祐史大会長、瀬戸●(かん)一[●は日へんに完]理事長)が、松本歯科大学(長野県)を会場に現地およびWeb配信のハイブリッド形式にて開催された。

 まず大会長の栗原氏(松本歯科大教授)より、「松本歯科大学病院が取り組む感染制御の現状と対策」と題して、新型コロナウイルス感染症発生以降の松本歯科大学における感染者の動向や感染対策の推移を紹介。今回の経験から関係者との情報共有や感染対策の消耗品の適正使用などの重要性を指摘するとともに、今後はさらに感染対策の実習にも力を入れていきたいとの意欲を述べた。

 「診療における放射線安全利用のために」との講演で田口 明氏(松本歯科大教授)は、日本の医療被ばくは世界に比べて高い現状を提示し、国民線量を抑える必要があると強調。特に放射線感受性の強い小児にむやみに撮影しないこと、X線撮影に関する患者説明は必ずその内容をカルテに記載すること、医療従事者による管理を徹底することなど、安全利用における正当化と最適化を十分考慮して撮影することの重要性を訴えた。

 「全身偶発症を防止するための歯科治療時の医療安全管理」について講演した澁谷 徹氏(松本歯科大教授)は、患者の全身状態を術前に適切に評価し、必要に応じて治療中にバイタルサインをモニターすることにより、早期に異常を発見して適切な対応を取ることの意義を解説。術前の全身状態評価における自動血圧計やパルスオキシメータの使用法や注意点、評価と異常値への対応などを説明するとともに、治療に際して患者のストレスを軽減させることでかなりの偶発症を防止できると強調した。

 「歯周病と全身疾患の関連性から安全歯科医療を考える」と題した講演で吉成伸夫氏(松本歯科大教授)は、歯周病と全身疾患の関連に関する研究成果について紹介するとともに、その関連性について十分に国民に周知されていないと指摘。今後「国民皆歯科健診」の導入が口腔の健康の大切さを啓発する絶好の機会になり、口腔の健康増進を通じて全身疾患の予防につながることへの期待を寄せた。

 最後に理事長の瀬戸氏が「アジアの口腔がん撲滅を目指して」と題して、昨年11月23日にインド口腔顎顔面外科学会からこれまでの活動に対する表彰に招かれ、ニューデリーで行われた受章時のエピソードを交えながら講演。インドをはじめ南アジア一帯は口腔がん多発地帯であり、その大きな原因であるビンロウを噛む習慣の問題に口腔外科医がいまだ向き合っていないと指摘し、アジアの口腔顎顔面外科医は南アジアの口腔がんを共通の課題として取り組むべきと熱く語った。

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