2024年3月14日掲載

生涯を通じた歯科健診の進捗状況や人材確保に向けた具体的な議論が展開された

日歯、第202回臨時代議員会を開催

日歯、第202回臨時代議員会を開催
 さる3月14日(木)、15日(金)の両日、歯科医師会館において、日本歯科医師会(以下、日歯、高橋英登会長)による第202回臨時代議員会が開催された。

 冒頭、藤田一雄副会長による開会の辞が述べられた後、物故会員に対する黙祷が捧げられた。次に、飯利邦洋理事(石川県歯科医師会会長)が、令和6年能登半島地震の現状報告を行った後、高橋会長による挨拶が行われた。高橋会長は飯利氏の報告に補足し、能登半島地震対応において十分な支援が行き届いていない現状への遺憾の意を表するとともに、災害対応に長けた歯科医師会をつくる必要性について言及した。

 また、高橋執行部発足後の活動において、令和6年度診療報酬改定における財源確保を最優先の課題として取り組んできたことを振り返るとともに、日本の歯科医療費と先進諸国との差にふれながら保険診療においてあきらかに診療対価が見合っていない算定項目については、国民に高品質な歯科医療を提供するためにも適切な公定価格を求めていくことを主張した。

 続いて来賓挨拶が行われ、山田 宏氏、比嘉奈津美氏(ともに参議院議員)、太田謙司氏(日本歯科医師連盟会長)、住友雅人氏(日本歯科医学会会長)、柘植紳平氏(日本学校歯科医会会長)より、歯科界の諸問題への抜本的な改革に向けた言葉とともに歯科に対して適切な評価を求め、次世代に希望をつないでいく姿勢が会員に示された。

 引き続き各担当者より、一般会務・予算決算特別委員会報告などが資料をもとに行われた。決議事項では、第1号議案「令和6年度事業計画の件」、第2号議案「令和6年度入会金及び会費の額の件」、第3号議案「令和6年度収支予算の件」、第4号議案「令和6年度資金調達及び設備投資の見込みの件」、第5号議案「議事運営特別委員会の欠員補充承認の件」の全5議案が上程され、すべての議案が承認された。

 その後は2日間にわたり、地区代表・個人事前質問に対する答弁が行われた。多数の事前質問や関連質問および要望が寄せられ、なかでも生涯を通じた歯科健診(いわゆる国民皆歯科健診)に付随する簡易スクリーニングツール普及に向けた具体的取り組みや進捗状況について言及がなされ、実際に患者さんの来院につなげていくための方策について意見が交わされた。また、加速度的に進む歯科技工士のなり手不足に対する危機的課題に対しても言及され、今回の改定において歯科技工士連携加算や補綴装置の点数増点など明るい兆しがみえつつも、若い世代に歯科技工士という職の魅力をアピールしていくためは、歯科技工士の業務範囲の拡大について具体的な検討を進めていく必要性が提起された。

 社会情勢から鑑みても物価の上昇と賃金上昇は今後も続いていくことが予想される。そのようななかで、他業界への人材流出を防ぐためにも従業員に対して適切な報酬を支払い、そして診療所が健全な経営を行っていくためには「歯科全体の予算を確保していく」ことが喫緊の課題であることが強調され、活発な答弁が展開された。

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