2024年3月17日掲載

4年ぶりとなる全面対面式開催で盛況に

(公社)日本補綴歯科学会、令和5年度東関東支部学術大会を開催

(公社)日本補綴歯科学会、令和5年度東関東支部学術大会を開催
 さる3月17日(日)、ロイヤルパインズホテル浦和(埼玉県)において、令和5年度公益社団法人日本補綴歯科学会東関東支部学術大会(日本補綴歯科学会主催、小見山 道支部長、藤澤政紀大会長)が開催された。

 会場ではまず、開会式に引き続き一般口演延べ6題が行われ、CAD/CAM冠用コンポジットレジンに対する表面硬化滑沢材の接着強さの検討、PMMAブロックの切削条件による加工面と切削抵抗の比較、CAD/CAMで製作したハイブリッドレジン製根面板の適合精度についての研究といった最近のマテリアルに関する話題から、新規マウスガード材料の開発や可撤性義歯の咀嚼機能の評価方法の検討といった伝統的なテーマまでが並び、補綴学研究の裾野の広さを感じさせる内容となっていた。

 その後、会場では特別講演と生涯学習公開セミナーが行われた。特別講演では、「補綴の不易流行 —補綴を志す皆さんに期待すること—」と題して河相安彦氏(日大松戸歯学部有床義歯補綴学講座)が登壇。「不易流行と補綴歯科には親和性がある」という、市川哲雄氏(徳島大歯学部口腔顎顔面補綴学分野)の言葉を基にした河相氏の考察について示し、補綴歯科におけるけっして変えてはならない「不易」の部分と、多様な発想とアクションをもって進んでいく「流行」の部分をあわせもつことの大切さについて論じた。また、補綴を志す後進へのメッセージとして、「なぜ変化する必要があるのか見極める」「変化の必要性を直視せず改善しない姿勢を戒める」「変わらぬ大切なものを守りつつ、変化に対応」「柔軟に新たに必要なものを取り入れる」の4点を挙げた。

 生涯学習公開セミナーでは、「前歯部の審美修復処置に必要なこと」をテーマに、「低侵襲ソフトティッシュマネジメント」(林 丈一朗氏、明海大歯学部口腔生物再生医工学講座歯周病学分野)と、「前歯部補綴治療を成功させるために必要な診断と臨床」(脇 智典氏、東京都開業)の2題が並んだ。前者ではコンポジットレジンを用いた隣接面ベニアによるブラックトライアングルの改善およびフラップレス歯冠長延長術の実際が、そして後者では審美歯科治療に必要な要素のなかでも特に歯列の正中と顔貌の正中の一致、および歯頚ラインの対称性の確保について症例とともに臨床のコツが多数示された。

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