2024年3月24日掲載

林 美加子氏らが最新の研究成果等や今後のビジョンを紹介

一般社団法人ACFF日本支部第7回総会・研究成果・特別講演が開催

一般社団法人ACFF日本支部第7回総会・研究成果・特別講演が開催
 さる3月24日(日)、AP東京八重洲(東京都)において、一般社団法人ACFF日本支部第7回総会・研究成果・特別講演(林 美加子理事長)が開催された。
 
 ACFF(Alliance for a Cavity Free Future:う蝕のない未来への同盟)とは、「2026年以降に誕生する子どもたちに生涯をとおしてう窩を作らない」を地球規模でのゴールに設定している国際非営利組織。英国King’s College Londonを本拠地とし、カリオロジーの世界的リーダーであるDr. Nigel PittsがGlobal Chairmanとして統括している。日本支部は林氏(阪大教授)が理事長を務め、2018年2月4日に発足。以来、さまざまな研究プロジェクトを推し進めている。

 今回の研究成果発表では、本会理事の辻村 傑氏(神奈川県開業)の進行のもと、まず笹山桐子氏(国立国際医療研究センター)による「開発途上国におけるフッ化物配合歯磨剤の流通の実態調査」の報告が行われた。氏は、開発途上国の人びとが使用している歯磨剤について、1)有効濃度のフッ化物が配合されているか、2)価格の対所得比はどうなっているのかを調査。歯磨剤のパッケージにフッ化物配合の記載はあっても濃度について表記がないものがあること、価格については各国で大きく差があることなどを紹介した。

 つづいて、林氏による「ICCMS™ e-ラーニング日本語版~今後の活動方針~」と題して講演。ACFF日本支部の発足以来の現在までの活動や、国際う蝕分類・マネジメントシステムであるICCMS(International Caries Classification and Management System)の「e-ラーニング日本語版」、さらには今後の新たな展開であるGlobal Collaboratory for Caries Management(GCCM)について紹介した。なお、「ICCMS™ e-ラーニング日本語版」(ICCMS™: e-ラーニング 〔iccmse-learning.jp〕)はACFF日本支部ホームページより誰でもアクセス可能となっている。

 最後に、桃井保子氏(鶴見大名誉教授)および柘植紳平氏(岐阜県開業)の進行のもと、安藤昌俊氏(米国・インディアナ大終身准教授)による特別講演「う蝕リスクアセスメントとマネージメントの重要性について」が行われた。氏は、一般的なリスクについての解説からリスク管理の目的、う蝕リスク評価・管理についてわかりやすく紹介。さらには、インディアナ大学での教育・実習について詳細に解説した。講演後の質疑応答では、「う蝕リスク評価についてはさまざまな様式が存在し、どれを使用してもかまわないが、“なぜ、そのような状態になったのか?”“なぜ起きたのか?”といった背景の原理原則をきちんと把握したうえで使用すべき」とまとめた。

関連する特集