2024年3月31日掲載

「Growth Optimizationを目指して~小児の健全な成長発達の支援者が集うプラットフォーム~」をテーマに

(一社)日本小児口腔発達学会第1回学術大会開催

(一社)日本小児口腔発達学会第1回学術大会開催
 さる3月31日(日)、虎ノ門ヒルズフォーラム(東京都)において、一般社団法人日本小児口腔発達学会第1回学術大会(末延慎司大会長、井上敬介代表理事)が開催された。

 本学会は、小児の筋機能矯正や予防に関心の高い歯科医師らを中心として活動してきた名古屋予防歯科勉強会を前身としており、小児の口腔機能発達不全症の治療と予防のためさらに活動の場を広げるべく、2002年8月に発足したものである。今回は、記念すべき第1回の学術大会として、「Growth Optimizationを目指して~小児の健全な成長発達の支援者が集うプラットフォーム~」をテーマに、さまざまな講演およびポスター発表が行われた。

 まず、教育講演・口腔機能支援士セミナー1として井上氏が登壇。「口腔機能支援による真の健康への道」と題して講演を行った。講演のなかで井上氏は、不正咬合が“パンデミック”といえる状況を呈している現状を挙げ、求められているのは対症療法ではなく予防であるとした。また、不正咬合は顎顔面の発育障害の結果であり、その根本原因を追究していき、より上流の原因にアプローチすることが必要であると述べた。そして、その考えを具現化したものとして「Root Gear Model」を紹介した。数ある不正咬合の原因すべてを歯科だけで解決するのは難しく、小児にかかわるさまざまな職種との連携が必須であり、小児口腔発達学会はそのプラットフォームを目指すと述べた。

 つぎに、69演題を数えたポスター発表より8名が登壇し、ポスターリレー発表が行われた。つづいて、葭澤秀一郎氏(睡眠歯科リサーチセンター東京代表)が登壇し、「睡眠歯科医療を通した医科歯科連携―Dentsply Sirona社製品の活用法―」と題してランチョンセミナーを行った。

 午後には、岩井孝充氏(愛知県開業)の座長のもと、「口腔機能支援士セミナー2」が行われ、鈴木杏吏沙氏(助産師、I Dental Clinic)、竹山孝明氏(言語聴覚士、はち歯科医院)、古泉貴章氏(理学療法士、加藤大介クリニック/ヤマグチ医院小児歯科)が登壇した。口腔機能支援士は、小児に携わるすべての関係職種を対象とする学会の認定資格であり、多職種で連携し小児の臨床現場での問題を追及・解決すべく活動する子ども成育サポーターと位置づけられるものである。

 最後に、シンポジウム「ライフステージにおける小児口腔発達の最適化」が行われた。シンポジウムでは、川邉研次氏(姿勢咬合研究会会長)が「マイナス6歳からの未来歯科アカデミー」と題して、安部秀弘氏(日本口育協会理事長)が「栄養と生活から考える小児の顎顔面の成長」と題して、花田真也氏(日本床矯正研究会代表理事)が「バイオファンクショナルセラピー~歯列不正の原因へのアプローチ~」と題して、それぞれ講演を行った。

 当日は700名を超える参加者が会場に詰めかけ、熱気に包まれたまま閉会となった。

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