2024年4月1日掲載

オーラルフレイルを評価する指標「OF-5」を作成

オーラルフレイルに関する3学会合同ステートメントが公表される

オーラルフレイルに関する3学会合同ステートメントが公表される
 さる4月1日(月)、厚生労働省(東京都)において、一般社団法人日本老年医学会(神崎恒一理事長)、一般社団法人日本老年歯科医学会(水口俊介理事長)、一般社団法人日本サルコペニア・フレイル学会(荒井秀典代表理事)による、オーラルフレイル3学会合同ステートメントの公表に関する記者会見が開催された。

 オーラルフレイルは2014年に日本で初めて基本的な概念が提唱され、その後2022年にはオーラルフレイルを国民によりイメージしやすい概念にブラッシュアップすることを目的に、ワーキンググループが設置された。そして、本ステートメントの公表にあたり、記者会見が開催される運びとなった。

 冒頭、3学会代表の神崎氏、水口氏、荒井氏よりオーラルフレイルという概念の普及・啓発に向けた意気込みとともに、口腔の健康から国民の健康長寿への貢献に向けた期待の言葉が述べられた。

 次に、本ワーキンググループの飯島勝矢氏(東大高齢社会総合研究機構機構長・未来ビジョン研究センター教授)より、資料をもとにオーラルフレイルの基本概要が解説された。なかでも歯科医療職種が不在であってもオーラルフレイルを簡便に評価できる指標として開発された「Oral frailty 5-item Checklist:OF-5」について、身体的なフレイルのみならず社会的なフレイルについても関連しているデータを示し、「OF-5」の妥当性や有用性をアピールした。

 その後、平野浩彦氏(東京都健康長寿医療センター歯科口腔外科部長)より、本ステートメントの趣旨や「OF-5」の概要が詳説された。まず、8020達成率の推移や従来の治療中心型の歯科医療から口腔機能の維持・管理が求められるようになった歯科医療の変遷に言及し、多職種協働による重症化予防やスクリーニングの強化が進んでいることを説明した。そして、1)歯数減少、2)咀嚼困難感、3)嚥下困難感、4)口腔乾燥感、5)滑舌低下(舌口唇運動機能の低下)――5項目からオーラルフレイルを評価する指標「OF-5」の詳細ともに、口腔機能障害にいたるまでの過程や「健口」な状態に戻れるフレイルの段階で介入することの重要性を強調した。

 最後は、飯島氏より「各専門職種がそれぞれのルートでオーラルフレイルの認知を広めるほか、産学官民とも連携することで『OF-5』を含めた概念の普及・啓発に努めたい」との展望が述べられた。

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