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2009年6月6日

日本補綴歯科学会第118回学術大会開催

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 さる6月5日(金)から7日(日)の3日間、国立京都国際会館において「日本補綴歯科学会第118回学術大会」(矢谷博文大会長)が開催された。会場では特別講演、海外特別講演、各種シンポジウムや課題口演などが多数開催されたが、ここでは主なものを紹介する。

(1)シンポジウム1「インプラントと再生医療」(細川隆司座長、九歯大口腔再建リハビリテーション学分野教授)
 本シンポジウムでは、昨今進展の著しいインプラントをめぐる再生医療について3名の演者が講演。まず、松井徳雄氏(貴和会歯科診療所)が「インプラントと再生療法の現状」と題して臨床上行いうる最新の各種術式(GBR、EMD、各種外科手技の応用)とその成果を示したうえで、窪木拓男氏(岡山大大学院医歯薬学総合研究科インプラント再生補綴学分野教授)が「口腔インプラント治療の現状認識から見える問題とその解決策―再生医療はそれを解決できるか―」、そして江草 宏氏(阪大大学院歯学研究科統合機能口腔科学専攻助教)が「再生医学とインプラント治療―近未来のインプラント学におけるバイオテクノロジーのインパクト―」と題してそれぞれ登壇。rhBMP-2の応用や歯胚の再生(窪木氏)、そしてIPS細胞の応用や遺伝子診断による患者の骨吸収リスクの判定(江草氏)など、インプラント治療をより確実なものとするために研究が進められている諸分野の研究成果が紹介された。

(2)ミニシンポジウム2「無歯顎症例におけるインプラント治療と予後管理」(萩原芳幸座長、日大歯学部歯科補綴学教室三講座准教授)
 本シンポジウムでは、小宮山彌太郎氏(東京都開業)が「上顎無歯顎におけるインプラント支台の固定性上部構造」 と題し、前田芳信氏(阪大大学院歯学研究科学口腔再建学講座第二補綴学講座教授)が「上顎無歯顎に於ける可撤性インプラント上部構造の設計と予後に影響する因子」と題してそれぞれ登壇。固定性と可撤性それぞれの立場から、臨床的にもっとも妥当と思われるインプラント体の埋入位置や上部構造設計についての意見が交わされた。なかでも前田氏は上顎のインプラントオーバーデンチャー成功のためのポイントとして、「上顎骨の特性を考慮すること」「インプラント体の位置・数から床の動きを考えること」「(側方力の原因となる)義歯床の剛性を高めること」そして「定期的なメインテナンス」を挙げた。

(3)海外特別講演2「High Strength CAD/CAM All Ceramic Restorations -An Esthetic Reality-」(Prof. Avishai Sadan,D.M.D.,Department of Comprehensive Care, Case Western Reserve University, School of Dental Medicine)
 本講演で Sadan氏はまず、ジルコニアの物性や取り扱いの注意点についてさまざまな角度から解説。ジルコニアとアルミナの光透過性の比較や、ジルコニアの光透過性を増すためのコーピング厚みの削減法、さらには陶材築盛後の焼成に関する注意点などについて述べた。その後、ジルコニアをフレームワークとした接着ブリッジについて多くの時間を割いて詳説。とくに、ジルコニアフレームワークの表面にジルコニア泥を焼き付けることで微細なサンゴ礁様の粗造面を付与する技術(QDT〔Chicago〕Volume32 24~36ページ参照)を紹介し、本法による接着性の向上を訴えた。

 このほかにも、補綴治療にまつわる話題が幅広く紹介された本学会はたいへん充実したものとなっていた。なお、次回の本大会は東京都にて2010年6月11日(金)~13日(日)にかけて開催される予定である。