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2009年6月20日

第27回日本顎咬合学会学術大会開催

「アート・サイエンス・クラフトの融合」をテーマに会場は熱気あふれる

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 さる6月20日(土)、21日(日)の両日、東京国際フォーラムにおいて、日本顎咬合学会第27回学術大会(夏見良宏理事長・大会長、山影俊一プログラムチェアマン)が、「アート・サイエンス・クラフトの融合」をメインテーマに開催され、約4,300名の歯科医療関係者が参集し盛会となった。

 初日の開会式後には、柳田邦男氏(ノンフィクション作家、評論家)による基調講演「ヒューマンエラー―進化する安全の課題―」が行われた。柳田氏は、まず講演のテーマと異なる内容であることを前置きしたうえで、現在国会で改正案が審議されている臓器移植法について言及。脳死を人の死とするか否かのダブルスタンダード問題や、脳死判定に関する海外と日本の違いなど、自身の経験談も折りませながら述べた。ヒューマンエラーの対策に関しては、「エラーを分析し、つぎに生かすことが重要」と述べ、医療事故例を供覧しながら医療界の医療事故調査におけるヒューマンファクターやサバイバルアスペクツについての認識の未成熟さを指摘した。

 引き続き、Thomas J. Han氏(UCLA歯学部非常勤講師)による特別講演「歯科臨床の将来ビジョン―歯周病&インプラント治療のはたす役割―」が行われた。Han氏は、講演のなかで、今後の歯科医療のトレンド(技術・材料・器材)について、CT、CAD/CAM、ピエゾサージェリー、歯科用レーザー、新インプラントデザインを挙げた。また、生物学的進歩からPDGFやBMP-2、生活細胞の導入などについて概説した。

 2日目の午後には、特別企画「歯科医師・歯科技工士・歯科衛生士の明るい未来を目指して」が行われた。秋元秀俊氏(ジャーナリスト)を座長に迎え、大久保満男氏(日本歯科医師会会長)、斎木好太郎氏(日本歯科技工学会会長)、野々垣静子氏(朝日大歯科衛生士士長)、赤石健司氏(朝日大副学長)、中尾 眞氏(日本歯科商工協会会長)、佐々木一高氏(クインテッセンス出版代表取締役)がそれぞれ登壇。各分野の代表者らは、歯科医師需給問題、歯科医療従事者養成施設の定員割れ、保険制度の問題点、歯科衛生士の業務範囲の見直しなど、各分野の現状と今後の展望、その解決策について論じた。

 2日間にわたって行われた本大会は、一般口演、ポスター発表、有料ハンズオンなど、346題が行われた。歯科医師のみならずコ・デンタルスタッフも一緒に参加できる趣向を凝らしたプログラムは、参加者から好評を博し、展示ホールで行われたテーブルクリニックや賛助会員企業ブースにもたくさんの参加者が訪れていた。閉塞感が漂う歯科界といわれている昨今だが、そのような雰囲気は感じさせないほど、いずれの会場も熱気あふれた様子が印象的であった。