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2009年9月27日

日本大学歯学部同窓会講演会「歯根膜の臨床への活用」開催

甲田・下地両氏、自家歯牙移植を中心に天然歯(歯根膜)保存の有用性を説く

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 さる9月27日(日)、日本大学歯学部(東京都)において、日本大学歯学部同窓会主催(糟谷修三会長)による講演会「歯根膜の臨床への活用」が多くの参加者を集めて開催された。講師には、スタディグループ「火曜会」に共に属する同大学出身の甲田和行氏(東京都開業)と自家歯牙移植の臨床で著名な下地 勲氏(東京都開業)の2人が招聘され、表記テーマに則って欠損補綴における自家歯牙移植の臨床術式、治療の流れを甲田氏が、歯根膜の生物学的背景をよりどころとしたアドバンス編を下地氏が講演した。

 甲田氏は、自家歯牙移植は歯根膜活用のもっとも効果的な治療法であり、咬合支持獲得を含めた欠損の拡大防止の一手段として位置づけており、とくに片側遊離端欠損の処置を例に自家歯牙移植とインプラントの使い分けを提案した。また、下地氏は自身の臨床では歯根膜の再生、恒常性維持、感覚の3機能を重視しており、生物学的な背景をよりどころとした理論展開から、自家歯牙移植をはじめとして、歯根端切除や歯牙移動など、歯根膜の3機能を期待した術式を紹介した。

 両氏は、欠損補綴において、「インプラントと比較して天然歯の最大の優位性は歯根膜をもつこと」との考えから、インプラントが普及してきたことによる天然歯の安易な戦略的抜歯が多発している状況に警鐘を鳴らしていた。ただし、インプラントを完全否定するものではなく(片側遊離端欠損に応用したインプラントの長期経過症例も提示)、適応症を考えたうえでの欠損補綴法(自家歯牙移植、インプラント)の選択を提案していた姿が印象的な講演会となった。