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2009年11月22日

日本ヘルスケア歯科研究会2009年ミーティング開催

玄人&新世代メンバーによる原点回帰の2日間

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 さる11月22日(日)、23日(月)の2日間、川口市民ホール・フレンディア(埼玉県川口市)において、日本ヘルスケア歯科研究会(藤木省三代表)によるヘルスケアミーティング2009『除去・根治、除去・根治、これを「医療」だと勘違いしてませんか?!~歯科の未来はメインテナンスベースの診療所から見えてくる~』が、240名の参加者のもと開催された。本ミーティングは毎年行われているもので、本年はメインテナンスベースの歯科医療の実践の推進、チーム歯科医療の実践、長期メインテナンスの着眼点、ICDASに基づくう蝕診査についての4つのテーマが取り上げられた。

 23日午後に行われた「Part4 シンポジウム:ICDASが拓く新しいう蝕のマネージメント~歯質保存療法を主役にした治療可能なう蝕病変の判定~」では、豊島義博氏(第一生命日比谷診療所歯科)、飯島洋一氏(長崎大医歯薬学総合研究科口腔保健学准教授)、杉山精一氏(千葉県開業)、桃井保子氏(鶴見大歯学部第一歯科保存学教室教授)、柘植紳平氏(日学歯副会長)が登壇し、ICDAS(International Caries Detection Assessment System)の臨床応用の推進について討論された。

 モデレーターの杉山氏は、初期う蝕の診断基準が確立していない現状の打破にICDASが活用できないかと同会が検討を重ねてきた経緯を説明し、ICDAS Coordinating Committeeが作成したう蝕の診査コードに加えて、各種文献を参考に定めた同会オリジナルのエックス線写真診査の基準の活用を提案した。さらに同会では、この2つの診査基準を歯科医療従事者はもとより患者をも含む誰もが共通に理解できるものにすべきとし、症例写真で実例を示す診査表を作成、提案した。

 豊島氏は、豊島氏本人がフィールド調査した学校歯科検診の実例をあげながら、ICDASによる診査はう窩になる前の脱灰レベルで地域のう蝕リスクを診断できるとしたものの、厳密な診査を行うためには時間的に困難であることを示し、将来的には検診は歯科医院が担うことになるのではないかとした。

 飯島氏は、ICDASのコード1、2(エナメル質における目で見える初期変化および著明な変化)は再石灰を図ることができるとしたものの、再石灰化には脱灰の3倍程度時間が必要であることを示し、プロフェッショナルケアの展開方法、患者のモチベーションの向上がキーとなるとした。

 桃井氏は、日本歯科保存学会う蝕治療ガイドライン作成委員会の立場から、う窩を形成した後の治療ガイドラインの説明を行い、同蝕治療ガイドラインでは、白斑や着色など、う窩のないものは切削対象ではない(審美的障害は除く)としていること、探針による診査は留意すべきとしていることを紹介した。

 柘植氏は、以前は「子どもから病気を見つける」ための検診であったが、現在は「子どもの健康の保持増進をはかる」ことが目的となっていることを紹介し、歯科でも「歯を大切に思う、歯の価値観を向上させる」ことが学校歯科保健の目指すところであるとした。また、学校歯科の現場での役割と歯科医院での役割を比較しながら、両者の連携が欠かせないとし、COの確定診断法の確立や診査方法のキャリブレーションの必要性などが求められるとした。