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2009年12月13日

第1回JDA学術講演会「BPSと下顎総義歯吸着の融合」開催

 さる12月13日(日)、血脇記念ホール(東京都)において、「第1回JDA学術講演会『BPSと下顎総義歯吸着の融合』」(JDA〔Japan Denture Association〕主催、阿部二郎代表、Ivoclar Vivadent社協力)が約220名の参加者を集め開催された。

 本講演会は「Denture」を幅広く捉え、歯周組織との調和を基本とした欠損補綴全般について考察してきたJDA初のオープン形式の講演会。テーマは、JDAにとっての最近のトピックであるBPS(Biofunctional Prosthetic System、Ivoclar Vivadent社)と阿部氏の下顎総義歯吸着理論の融合、そしてインプラントオーバーデンチャー(以下、IOD)がメイン。以下、各演題について概説する。

1)「BPS Biofunctional Prosthetic System」(Mattheus Boxhoorn氏、Ivoclar Vivadent社研修センターインストラクター)
 Ivoclar Vivadent社のインストラクターを務めるBoxhoorn氏は、その立場からBPSによる総義歯製作のステップを詳説。BPS関連製品を用いたシステマチックな印象採得や顎間関係記録、そして咬合採得や人工歯排列について紹介した。

2)「BPS歯科技工:模型分析と排列」(佐藤幸司氏、佐藤補綴研究室)
 佐藤氏は、演題のとおり模型分析と人工歯排列について詳説。前者については「筋肉の付着部や骨格系がみえる印象が理想的」としたうえで、そこから製作された「模型の読み方」について述べた。また、人工歯排列についてはBPSシステムの咬合器に用意された「3-Dテンプレート」の応用、そしてAngleの分類に応じた人工歯選択などについて述べた。

3)「BPSと下顎総義歯吸着の融合」(阿部氏、東京都開業)
 本演題で阿部氏はまず、BPSでの印象採得が筋を重視するのに対し、氏の下顎総義歯吸着理論では可及的に無圧で、安静時の口腔粘膜形態の採得が重要なことを強調。そのために氏が開発した「Frame Cut Back(枠なし)トレー」で採得された印象体の形態について解説した。その後、得られた概形印象をもとにした個人トレーの外形線描記法や、義歯各部の辺縁封鎖のメカニズムなどについてていねいに解説した。

4)「義歯の機能に必要な研磨面形態」(小久保京子氏、エースデンタル)
 本演題で小久保氏は、研磨面形態の役割として(1)辺縁封鎖の完成、(2)嚥下・構音・舌位の確保、(3)リップサポート、(4)顎の運動量の規定、などを挙げてそれぞれ解説。そのうえで、「画一的な研磨面形態ではなく、患者情報をもとに個人に応じた研磨面形態を付与しなければならない」と締めくくった。

5)「義歯は動いて機能する」(齋藤善広氏、宮城県開業)
 齋藤氏はまず、上下顎総義歯に造影性を付与して患者に装着し、CT撮影を行った症例を検証。これにより、義歯床が実は骨ではなく粘膜上で支持されている部分が多いことを示し、義歯の動きが避けられないことの論拠とした。そのうえで氏は「たしかに義歯は動くが、ただ動いては意味がない。その動きを制御することが重要」としたうえで、そのための咬合採得、吸着の達成、そして咬合様式のそれぞれに対するコンセプトを示した。

6)「Implant Overdenture with Biofunctional Prosthetic System」(亀田行雄氏、埼玉県開業)
 本演題で亀田氏はまず、「総義歯の難しさと限界」と題したIOD症例を供覧。そのうえで、IODに関する文献レビューを多数行い、IODが臨床的に有用な治療法であることを示した。一方、そのリスクについても示し、(1)インプラント埋入時の外科的問題、(2)側方力によるインプラント体への負担、(3)清掃性が不良な場合の歯周組織への影響、を挙げて注意を促した。