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2010年5月30日

医歯大歯科同窓会講演会開催

ブラキシズムをテーマに馬場氏、加藤氏が共演

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 さる5月30日(日)、ベルサール飯田橋ファースト(東京都)において、医歯大歯科同窓会講演会(西村 誠会長)が開催された。今回は、「ブラキシズム最前線!!―歯科治療のパラダイムシフト~力との闘い―」と題し、馬場一美氏(昭和大歯学部歯科補綴学教室教授)、加藤隆史氏(阪大大学院歯学研究科高次脳口腔機能学講座講師)の2名を講師に行われた。

 午前はまず馬場氏が「ブラキシズムに対応するにはその構造を理解する必要がある」としたうえで、加藤氏が「ブラキシズムは睡眠時と覚醒時とで分けて考えることが重要」と述べ、両者によって睡眠時ブラキシズム(以下、SB)に対する定義・分類、捉え方、患者の特徴、診断、問診法が詳説された。さらに、睡眠時無呼吸症候群とSBの関連性についても解説がなされた。

 午後は、馬場氏によって覚醒時に生じるTCH(日中歯牙接触習癖)、咬合感覚異常を有する患者の診断と対応法、さらにはこれらとパラファンクションに対する関連性が解説された。その後、「SBは抑制できるか」というテーマに対し、加藤氏が「現時点では、1.無くすこと→×、2.減らすこと→△ or ×、3.歯を守ること→○」とし、2に対しては薬物療法と行動療法があるが、どちらも信頼性に乏しいとした。3に対しては歯科的アプローチであり、スプリントや夜間用義歯を用いたその実際を馬場氏が解説した。

 その後、馬場氏によって重篤なブラキシズムをもつ患者への補綴時の材料選択や治療の実際が解説された。とくにインプラント治療に対しては、「全顎的な即時過重は絶対禁忌」と注意を促した。そして講演のまとめとして、「ブラキシズムは治療ではなくどう対応するか、いかに患者の負担を減らすかという考え方が重要。それには睡眠・材料・咬合への理解が欠かせない」と語り、本講演によってブラキシズムに対する正確な理解がなされることを期待していた。

 本講演会は、参加申し込みが殺到したことにより事前に会場が変更されて開催されたもので、当日は400名を超える参加者でたいへんな盛り上がりをみせた。最後に行われた質疑応答でも両氏に対し多くの質問が寄せられ、ブラキシズムに対する関心の高さがうかがえた。