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2010年9月5日

第2回JDA学術講演会「総義歯臨床 日本 vs アメリカ」開催

 さる9月5日(日)、ベルサール神保町(東京都)において、「第2回JDA学術講演会『総義歯臨床 日本 vs アメリカ』」(JDA〔Japan Denture Association〕主催、阿部二郎代表、Ivoclar Vivadent社協力)が約250名の参加者を集め開催された。

 本講演会は、2006年に「阿部二郎勉強会」として発足し、2008年春に「JDA」に改称した同スタディグループによるオープン講演会。今回は外国人演者として、昨年12月の「第1回学術講演会」で招聘したMr. Mattheus Boxhoorn氏(Ivoclar Vivadent社研修センターインストラクター)に代わり、米国からDr. Frank R. Lauciello(元ニューヨーク大学バッファロー校補綴学分野プログラムディレクター)を招聘。日本国内では報じられる機会の少ない米国の総義歯事情を学ぶ機会を設けるとともに、阿部氏の「下顎総義歯吸着理論」との対比をメイントピックとした。以下、各演題について概説する。

(1)「実践・アメリカの総義歯治療」(Dr. Lauciello)
 本講演でDr. Laucielloはまず、「Anatomy & Physiology of Impression Making」と題し、その名のとおり生理的な総義歯を製作するための解剖学と印象採得の実際について、上顎・下顎ごとに多くの根拠を示しながら詳説。総義歯に求められる生体との調和は、解剖学の知識なしには得られないことを示唆した。
 また、カスタムトレーの製作法やボーダーモールディングの考え方についてもBPSの概念を基に解説。後者については、顎舌骨筋線部に辺縁を延長しないように注意することの必要性や、機能運動の実際について示した。そして締めくくりとして、ラボサイドとの協働で総義歯を作り上げる過程についても詳説した。

(2)「下顎総義歯の吸着とBPSの融合が日本の未来の補綴を救う」(阿部氏)
 本講演で阿部氏はまず、大学での総義歯教育の現状について言及。「そこで教育されるコンベンショナルな総義歯製作法は、自分で機能運動を行うことのできない患者に対しては有用で、基礎としては絶対に必要な知識」としつつ、「その一方で、人工歯配列・重合・咬合採得などの要素のうち、ひとつでも失敗すると満足のいく義歯が完成しないシステムは若い歯科医師にとっては厳しい。そこで、BPSのシステム性が生きる」とした。その後、標題の「BPSとの融合」については、最近発売された阿部氏監修による「フレームカットバックトレー」(YDM、モリタ)を軸に解説。BPSのシステムに、このフレームカットバックトレーを加えることで下顎総義歯の全周辺縁封鎖(=吸着)が得られることを臨床例とともに示した。

(3)「超硬質ナノハイブリッドコンポジット人工歯 NHC SR Phonaresを用いた歯科技工」(小久保京子氏、エースデンタル)
 本講演では、阿部氏の技工を担当する小久保氏がIvoclar Vivadent社の新人工歯(標題)の特徴と、これを応用した総義歯製作について解説。同人工歯にはプラークの付着が少ない、インプラント上部構造への応用を意識した歯根部の形態、光の透過性が高い、そして前歯部への応用時にブラックトライアングルが生じにくい形態、などの特徴があるとした。また、近年とくに注目されているデンチャーステイニングの現状についても紹介した。

(4)「総義歯治療:日本 vs アメリカ」(Dr. Lauciello、Mr. Robert E. Kreyer〔歯科技工士、米国〕、阿部氏、小久保氏、亀田行雄氏〔司会、かめだ歯科医院〕)

 本演題では、米国で総義歯に関する著書・講演多数の歯科技工士・Mr. Kreyerを加え、主に「米国における総義歯のニーズ」「BPSの義歯教育における効用」「BPSと下顎総義歯吸着理論の融合について」「総義歯製作にあたって歯科技工士が欲しい情報」などがディスカッションされた。とくに下顎総義歯吸着に関する部分では、Dr. Laucielloから全周の辺縁封鎖(上述)に加え、今後は舌位の問題や研摩面の豊隆などについても検討されるよう示唆された。

 会場ではこの他、デモンストレーションとして「無歯顎症例の印象体から得られた臨床模型体の考察(模型診査と組織学的ランドマークの重要性)」(佐藤幸司氏、佐藤補綴研究室)、「超硬質NHC人工歯 SR Phonaresの歯科技工」(小久保氏)、「ナソメーターMの設置と解説」(須藤哲也氏、協和デンタルラボラトリー)、そして「患者さんを使った印象採得のデモ」(佐藤貴映氏、ひかり歯科クリニック)の4演題も行われ、併せて盛況となっていた。