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2010年10月31日

鶴見大学公開シンポジウムが開催される

乳がん患者による治療体験談、明日の歯科医療を考える契機に

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 さる10月31日(日)、鶴見大学会館(神奈川県)において、公開シンポジウム「歯ーとto Heart―患者さんの直接の声を聞こう!今、歯科診療に望むこと―」(鶴見大学、NPO法人デンタルハイジニスト&オーラルヘルスセラピー協会共催)が開催された。

 本シンポジウムでは、小林 馨氏(鶴見大歯学部長)の進行のもと、乳がん治療を受けた患者さん4名が治療体験談を報告。手術後の化学放射線治療やホルモン治療にともなう、口腔トラブルや味覚障害など、各自異なった副作用についても触れられ、歯科医療従事者のシンポジストや会場からの活発な意見が出された。とくに患者さんからは、主治医からのがん治療に対する歯科治療ならびに口腔ケアの情報や助言不足が挙げられた。また、歯科医療従事者のシンポジストからは、さる8月に調印された国立がん研究センターと日本歯科医師会の「がん治療患者の歯科医療連携事業」やがん治療における専門的口腔ケアの必要性についても概説され、医療従事者のみならず一般参加者の熱心に耳を傾ける様子も見られた。

 会終了後、本シンポジウムを企画した小林氏は企画趣旨について、「乳がん治療前に歯科診療を受けることは、乳がん診療ガイドライン2009においても推奨度Bと勧められている。しかし、ガイドラインでは個々の患者さんが治療を通してどのような障害を受け、症状を生じるのかは具体的に分かりにくいため、乳がん治療における副作用などの問題点を具体的に抽出し、歯科医療が貢献できることや課題を明らかにしたいと考えた」と述べた。

 がん患者に寄り添う「心のケア」と同じように、歯科医療従事者が行う「口腔ケア」の大切さについてあらためて考えさせられるたいへん有意義なシンポジウムとなった。