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2011年5月29日

「歯科のための10年後会議」開催

歯科初となる試みに会場は大盛況となる

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 さる5月29日(日)、大阪国際交流センター(大阪府)において、「歯科のための10年後会議―グレート・リセット、歯科の未来はどうなる?」((有)Willmake143主催、田中健児代表取締役)が開催され、230名の参加者が参集した。本会は、「放射線漏れ事故やソニー・コンピュータエンタテインメントの情報漏洩問題などは想定外なことではなく、以前からシグナルが発信されていた。歯科界も、各所から発信されているシグナルを受けとめ、どう対応するかが、激動の現状を乗り切るキーになる」というコンセプトのもと、木原敏裕氏(奈良県開業)、森 和男氏(株式会社モリタ商品企画戦略室室長)、須貝辰生氏(タカラベルモント株式会社常務取締役医療事業本部長)、田中健児氏、松下至宏氏(愛知県開業)の5名による講演およびパネルディスカッションが行われた。

 まず、「将来を見つめて今、何をすべきか?」と題し講演した木原氏は、日本の50年の歴史と歯科医療の変遷を振り返りながら、「ジルコニアを使う、インプラントを入れる……ということを競い合う時代から、患者さんがちゃんと噛めて、そこそこきれいで、不自由のない生活を、5年10年と送っていけるような歯科医療を提供できるかが問われる時代になった。患者さんはそれを求めて歯科医院に訪れるようになる」とした。

 森氏は、「進歩する歯科医療とトータルソリューション」と題し、歯科の各分野における10年前と現在の商品を比較しながら、モリタ社の戦略について講演した。森氏は、「歯科医療器材を単一のものとしてではなく、歯科医療の流れに沿ったトータルなものとして、歯科医院に提案を行う」と述べた。

 須貝氏は、「想像性で拓く歯科医院創り」と題する講演のなかで、「歯・口腔を大事にする患者・生活者を育てる歯科医院創りが必須。そのためには、生活者の代弁者でありドクターのスポークスマンとなるスタッフを育てることと、さらなる歯科医療技術の研鑽が求められる。タカラベルモントはそういった歯科医院環境を継続的にサポートしていく」とした。

 田中氏は、「国にはもう頼れない」と題し、日本の医療を取り巻く経済状況を分析しながら講演を行った。田中氏は、「企業の差別化は、ビジネスモデルよりもコミュニケーションモデルに表れる」とし、歯科医院でも今後は治療・予防・健康美・治療費に関する情報提供が欠かせないとした。

 松下氏は、「不確定の時代を生き抜くための提言 私が今、若き臨床家たちにどうしても伝えたいこと」と題し講演を行い、1990年に日本歯科医師会の依頼のもと野村総研が行った20年後の歯科界のシミュレーションのデータと現状を比較しながら、現状がいかに危機的な状況にあるのかを解説した。また10年後を見据えたとき、患者さんに「こういう歯科医療を受けたかった」と思ってもらえるような、患者さんの視点の歯科医流を実践する必要があり、そのためには診断・治療計画・コンサルテーション・治療・メインテナンスはもとより、診療時間のコントロールやスタッフの育成、快適な診療を実現する医療環境など「プロの歯科医師として、当たり前のことを普通にこなす」ことができる診療コンセプトが必須となるとした。