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2011年6月11日

第27回日本有床歯科施設協議会総会・研修会開催

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 さる6月11日(土)、12日(日)の両日、北海道歯科衛生士専門学校ほか(北海道)において、「第27回日本有床歯科施設協議会総会・研修会」(総会幹事:工藤憲生氏、伊東隆利会長)が約50名の参加者のもと開催された。

 本会は、歯科も入院設備を持つことで歯科医療のもつ力をより発揮し、社会に貢献できるようにするとの趣旨のもとに設立。実際に入院施設を有する、あるいは今後有床化を検討しているような全国の歯科医師の集まりである。

 まず11日と12日の朝に、工藤憲生氏(北海道開業)らによる日之出歯科真駒内診療所ならびに日之出歯科診療所(大通)の見学会を開催。真駒内診療所では、26台のユニットからなる第1診療室、おもに専門外来用の第2診療室、有病高齢者や障がい者に対応する第3診療室、14床からなる病室、全身麻酔設備など、病院機能をもつ歯科医療機関として、従来十分な歯科医療が受けられなかった人に安全、快適、的確な医療を提供するという理念のもとに設立された本施設の実際が紹介された。昨年10月にリニューアルしたばかりの札幌市中心街にある日之出歯科診療所(大通)では、40台ものユニットを持ちながら、パーテーションの設置による準個室化の実現や、IT化された最新の院内設備などが案内された。

 続いて、北海道歯科衛生士専門学校に会場を移し、総会・研修会が行われた。まず特別講演として平井敏博氏(北海道医療大特任教授)が「健康へ果たす義歯補綴治療の役割 -咀嚼は高次脳機能を賦活するか?-」と題して登壇。咀嚼機能の維持が高齢社会の抱える健康問題の予防に役立つ可能性をさまざまなデータを示して解説し、歯科的リハビリテーションの高齢社会で果たす役割の重要性を強調した。

 会員発表として大槻栄人氏(兵庫県開業)が「智歯の抜歯について」と題して、CT導入前に下顎智歯抜歯後に発症した下唇知覚異常の要因、および導入後のデンタルCTを用いた下顎第3大臼歯根尖と下顎管との位置関係について、症例をもとに解説した。

 最後に石田義幸氏(北海道)が「日之出歯科真駒内診療所 -全身麻酔症例3,000例の軌跡-」と題し、平成5年の開院以来今年2月に3,000例に達した本診療所における全身麻酔導入以降の変遷や対象患者、使用薬剤、管理法、治療内容などを、データをもとに紹介。今後は外来、入院、訪問の3つの柱に加えて、歯科麻酔指導施設としての運営を4つめの柱にしたいとの展望を語った。

 高齢社会を踏まえた歯科治療時における有病高齢者への対応や、歯科恐怖症や障がいなど、さまざまな理由から歯科治療が必要かつ希望してもその受け皿がなかったような人への対応などは歯科界全体の喫緊の課題であり、本会における取り組みがモデルとして発信されていくことが期待される。