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2008年7月13日

QDT購読キャンペーン講演会「いまさら聞けない補綴治療」(第3回・福岡会場)

東京、大阪会場にひきつづき大盛況に

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 さる7月13日(日)、エルガーラホール(福岡県)において「QDT購読キャンペーン講演会『いまさら聞けない補綴治療』―日常臨床に役立つ補綴治療のキー―」(第3回・福岡会場)が開催された(クインテッセンス出版主催)。5月17日(土)の東京会場、7月6日(日)の大阪会場に引き続き開催された本講演会は、小社雑誌「QDT」をより多くの歯科医師、なかでも今後の歯科界を担う若手歯科医師に周知する目的で開催されたもの。会場には過去最多となる270名あまりの参加者がつめかけ、関心の高さをうかがわせた。

 当日、会場では以下の3演題が披露された。

(1)「補綴治療の前処置の重要性」(水上哲也氏、福岡県開業)
 本講演で水上氏は、若手歯科医師に伝えたいこととして(1)まずは1歯の治療を確実に行うことをめざし、そこから1ブロック、1口腔へと考え方を広げていくこと、(2)根分岐部病変への対応を知っておくこと、(3)補綴処置に至る前の歯周基本治療の重要性、(4)チーム医療の実践、の4項目を挙げ、順次解説した。

 なかでも(1)については「若手歯科医師がフルマウスリコンストラクションに挑戦しようとしても予後を想定することは困難であり、そもそもそうした患者は若手歯科医師のもとには来院しない。よって、1歯~1ブロック~1口腔というスップを確実に踏み、診断力と治療オプションを積み上げていくべき」と述べた。また、(2)については、水上氏自身が歯周基本治療終了後の補綴処置に移行する基準として、(1)安定したプラークコントロールが行えるようになっていること、(2)プロービング時の出血がないこと、(3)プロービングデプスが3mm以下であること、(4)歯の動揺がないこと、(5)細菌およびう蝕リスク検査に以上がみられないこと、の5点を重視していると述べた。

(2)「実践!若手歯科医師のための歯冠修復マニュアル まずはここから 特別編:いまさら人に聞けない咬合採得・咬合調整」(萩原芳幸氏、日大歯学部補綴学教室3講座准教授)
 東京会場にひきつづき登壇した萩原氏は、咬合器の基本概念から使用する理由、そしてフェイスボウトランスファーを行う理由や咬合採得に用いる材料選択、さらには咬合調整の目的や原則にいたるまでを平易に解説した。とくに咬合調整についてはバーの動かし方から丁寧に解説し、聴講者の理解を助けていた。

 また、まとめとして(1)最終補綴物のイメージがわくまで治療に着手してはならないこと、(2)再介入・リカバリーが可能な補綴設計を行うこと、(3)補綴装置の長期維持には咬合の要素がもっとも重要である、と述べ、インプラント治療や審美修復全盛の現代にあって、若手歯科医師に対して補綴治療の基礎について再考を促す内容としていた。

(3)「失敗症例に学ぶインプラント修復」(小濱忠一氏、福島県開業)
 本講演で小濱氏はまず、「3年後、5年後の歯科界に不安をもたない歯科医師はいないであろう」「そうした中、健全に歯科医療に取り組むためには安定した経営、そして機能と審美性を重視した補綴治療を患者さんに提供することが重要」「そのために、インプラント治療はもはや避けて通れなくなった」などと述べ、インプラント治療がもはや不可欠となったことを力説。そのうえで、インプラント治療のステップを示しながら失敗の生じやすいポイントについて述べた。

 とくに若手歯科医師に対しては、「最終的な治療目標をもたず、本数しか意識しないと失敗の原因になる」「たとえ単独歯修復であっても、口腔内全体を考慮することが重要」「失敗を防ぐためには、(1)診断用ワックスアップ、(2)アバットメントの選択あるいは製作、(3)上部構造の製作、といった工程で歯科技工士との連携を図ることが重要―ただし、そのためには的確な指示を行えるための知識が必要である」「自分が責任をもって歯科技工士に渡せる仕事をしよう」などのメッセージを送った。もちろん、失敗症例についても豊富に検討され、若手歯科医師にとっての糧としていた。

 なお、本講演会は今後、8月に愛媛県、10月に北海道、11月に新潟県での開催が決定されており、さらに来春以降仙台、金沢、名古屋(順不同)での開催が予定されている。
 詳細はhttp://www.quint-j.co.jp/lecture/index.htmlにて。