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2011年7月7日

国際医療パースペクティブ第1回例会開催

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 さる7月7日(木)、Luz大森(東京都)において、公益財団法人国際口腔医療財団(瀬戸晥一理事長)による「国際医療パースペクティブ」第1回例会が開催された。本会の背景には瀬戸晥一理事長が温めてきた「ホスピタルシェア」構想が受け入れられ、「経済産業省国際化推進委員」に任命されたことがある。メディカルツーリズムは健康チェックの域をでない。新しく構想されたホスピタルシェアは、先進医療を推進する病院が国境の壁を越え連携し、双方向で医療情報を交換し、難病患者が最適の治療を受けられる病院ネットワークであり、先進医療を国際的にシェアするという構想である。具体的には、アジア地域を中心として先進的病院に"双方向的な医療協力に基づくホスピタルシェア"の同意を得て、患者受け入れ病院と密接に連絡をとり、患者を紹介する。連携病院での治療終了後には紹介元の病院へ戻し経過をみていくという。以下に第1回例会の演題を示す。

「IMFとホスピタルシェア」(瀬戸晥一氏、公益法人財団国際口腔医療財団理事長)
「放射線風評被害と医療について」(渡邉一夫氏、財団法人脳神経疾患研究所理事長)

 がんのなかでも多い頭頸部がんでは、切除療法として手術するのが一般的治療法だが、術後に咀嚼や嚥下障害、顔の変形などの後遺症を残してしまう。舌がんでは半分以上を切りとると機能回復は難しくなる。財団法人脳神経疾患研究所附属総合南東北病院では、頭頸部がんの切除療法に代わって陽子線治療と抗がん剤を経動脈的に投与する逆行性超選択的動注療法を併用するという先進医療を行っている。そのほかの治療対象のがんには、肺がん、食道がん、前立腺がんなどがある。また同病院ではBNTC(中性子補足療法)を導入し、新しいがん治療法を導入するという。このような先進的治療法をホスピタルシェアのひとつとして、アジアの人たちに紹介活動を行っているという。患者さんが国境を越えてよりよい高度先進医療が受けられる機会を多くつくっていきたいと熱い胸のうちを語った。

 現在までにブルネイ、ロシア、インドに話を持ちかけているが、いずれの国でも興味を示しており、陽子線治療装置の設置を望んでいるという。そこで医師、看護師などの派遣とともにアジアの医師の研修もあわせて提案を進めている。このような日本の先進医療技術をアジアの世界に向けて発信していくための道を探るため本会の例会を開いていきたいという。