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2011年10月1日

子ども虐待防止フォーラム in 東京開催

ゼロ歳児からの子ども虐待防止を目指して

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 さる10月1日(土)、日本医師会館(東京都)において、「子ども虐待防止フォーラム in 東京~ゼロ歳児からの子ども虐待防止を目指して~」((社)日本医師会、公益法人SBI子ども希望財団、(社)東京都医師会主催・共催)が開催された。本会が開催された背景には増え続ける子ども虐待と虐待死があり、より多くの方々に虐待の実態と対応の必要性を理解してもらいたいという切実な願いがある。平成22年度の虐待相談件数は55,152件、死亡件数は77人(第7次報告)にのぼっている。

 会場ではまず「ゼロ歳児からの子ども虐待防止を目指して」と題した丸山浩一氏(東京都児童相談センター所長)は、児童虐待相談ケース分析の研究結果と東京都児童相談所統計から講演を行った。虐待に該当した8,108人(平成20年8月)のうちゼロ歳児が476人であり、その51%がネグレクト、32%が身体的虐待であったと報告。第一発見者は医療機関がもっとも多く、産科、小児科などの医療機関と保健機関との連携が不可欠とした。

 「周産期医療の現場から」と題した水主川純氏(国立国際医療研究センター病院産婦人科)は、虐待死亡事例の背景には望まない妊娠があげられるため、ゼロ歳児からの子ども虐待予防には妊婦健診未受診や望まない妊娠の予防が重要であるとした。この問題は母児だけのものではなく、経済困窮、社会的孤立、性の自由化などさまざまな社会問題が背景にあると講演した。

 そのほかには「小児科診療所における虐待への対応とその課題」(秋山千枝子氏、あきやま子どもクリニック)、「社会的養護の現状と課題/社会的養護にみる今日の子どもの家庭」(加賀美尤祥氏、全国児童養護施設協議会)、「子どもの虐待死亡事例から学ぶ」(西澤 哲氏、山梨県立大人間福祉部教授)の演題があった。

 また、座長を務めた近藤太郎氏(東京都医師会副会長)は歯科が縁となって『医療従事者のための子ども虐待防止サポートブック』(クインテッセンス出版)が発刊できたことを紹介した。それを受けて、フロアー発言として高野直久氏(東京都歯科医師会)は、歯科における子ども虐待防止ための役割について説明した。

 質疑応答のなかで、「診療所で虐待が疑われた母子をみたときには、親と子どもを離し、子どもに『必要のない人間と思いますか』、『自分をバカと思いますか』」との質問をしてください。『ノー』と答えれば親を注意すればまだ子どもは助かります。しかし『イエス』と答えのあったときには、子どもの自尊心は既に壊れてしまっています」 と、フロアーから虐待を受けて育った方からの提案があった。自身の虐待体験からの発言だけにこれからの会の活動に生かしてもらいたい提案であった。