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2011年10月29日

日本臨床歯周病学会第29回年次大会開催

学会初の試みとなる聴衆参加型「症例検討会」が行われる

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 さる10月29日(土)、30日(日)の両日、広島県立産業会館(広島県)において、特定非営利活動法人日本臨床歯周病学会第29回年次大会(高井康博大会長、宮本泰和理事長)が「再生療法の現在と近未来」をテーマに開催された。

 大会初日はまず、各支部の代表らによるケースプレゼンテーションが行われた。つづく教育講演では、信藤孝博氏(大阪府開業)が「歯周治療の視点から見た血管再生と骨再生」と題して講演。氏が大学在籍時に行った血管形態研究の豊富な研究写真を提示しつつ、歯周外科後における全層弁の治癒の生物学的根拠を示した。

 つぎに、白石和仁氏(福岡県開業)が「歯周組織再生における選択肢」と題して講演。再生療法が話題となる昨今ではあるが、組織付着療法、切除療法など、従来の基本的治療を踏まえて学ぶことが重要であるとし、それらの有用性を示した。

 最後に高井康博氏(広島県開業)が「審美領域における歯周組織およびインプラント周囲組織の再建」と題して講演。審美領域におけるインプラント治療で知っておくべき原則やその背景となる文献を臨床例とともに示した。

 大会2日目は、特別講演が「新しい歯周組織再生療法の展望」と題して開催された。栗原英美氏(広大)、宮本泰和氏(京都府開業)、吉江弘正氏(新潟大)が登壇。歯周組織再生療法に対し、栗原氏は将来展望を、宮本氏は長期臨床評価を、吉江氏は培養骨膜シートによる再生治療の現状を語った。

 その後は、本学会初の試みとなる聴衆参加型の「症例検討会」が行われた。これは聴衆がスクリーンに映し出された症例の基礎的資料をみて、その後に提示されるいくつかの治療法を携帯端末にて選択するもの。ひとつの症例であっても、術者のスキル、患者の年齢や要望等によって、治療の正解は1つではないことがあらためて示唆されていた。

 また、ポスター発表・展示、歯科医師セッションと並行して開催されたコ・デンタルスタッフセッションも盛況で、後者の初日は特別講演として若林健史氏(東京都開業)が「歯周治療の成功を目指して―あなたは今何をしなければならないか知っていますか?―」と題して講演。2日目はシンポジウム「歯周病、歯の喪失、そしてインプラント~治療のゴールを見定めよう~」が行われ、会場は歯科衛生士で終始満席であった。

 なお、今回の本学会は同学会中国四国支部設立記念大会が併催、また、東日本大震災復興支援大会と銘打たれた。会場には被災地の製造元に発注したというTシャツやUSBメモリなどが販売されており、演者の一部はそのTシャツを身に付け講演を行うなど、学会をあげて復興支援に熱心に取り組む姿勢が垣間見えた。

 30周年記念大会となる次回は、2012年6月16日(土)、17日(日)に京王プラザホテル(東京都)にて、「環太平洋歯周病大会:天然歯を守るために~Perio vs Implant」と題してワールドワイドな演者を迎えて開催予定。