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2014年10月21日

シンポジウム2014「世界の中の日本―WHOの口腔保健戦略」開催

WHO国際口腔保健部歯科医官に就任した小川祐司氏が講演

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 さる10月21日(火)、アルカディア市ヶ谷(東京都)にて、シンポジウム2014「世界の中の日本―WHOの口腔保健戦略」(深井保健科学研究所主催、日本歯科医師会、8020推進財団、日本口腔衛生学会後援)が開催された。これは、今年から世界保健機関(WHO)国際口腔保健部歯科医官に就任した小川祐司氏を招聘し、WHOの現在の口腔保健戦略を知るとともに、グローバルヘルスにおける日本の果たすべき役割について討論することを目的に企画された。

 小川氏はまずWHOの構成や取り組みについて紹介。WHOの基本的な役割が国際的な視点での保健政策の提言やそのガイドラインの制定であることから、WHOで唯一の歯科医師として積極的に取り組む姿勢を示した。とくに、がんや糖尿病、心疾患、肺疾患といった非感染性疾患(noncommunicable diseases:NCDs)への対策が急務であり、NCDsと歯科疾患に共通するリスクファクター(過剰飲酒、運動不足、不健康な食事、喫煙)に対してアプローチすることの重要性、そしてそれらを踏まえたよりシステマティックな歯科診査のあり方について述べた。また、世界の高齢者口腔保健については、日本の高齢者口腔保健の実績・経験をもとにしながら国際戦略ロードマップを作成中であるとし、そのビジョンを語った。

 今後の課題として、エビデンスは蓄積するだけでなく世界でシェアしていくこと、効果や因果関係を明確にするためのさらなる研究が必要であること、そして医科とチームアプローチするためのコンセンサスが必要であることを挙げ、口腔保健の恩恵が一部の人だけでなく、すべて人に行きわたるようにしたいと語った。最後に討論会が行われ、グローバルヘルスにおける日本の役割について活発な議論が繰り広げられた。