歯科衛生士 5月
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44 歯科衛生士 Vol. 36 No. 5/2012ステージ別連載 初級ステージ小谷いずみ1)、小牧令二2) 美江寺歯科医院・1)歯科衛生士/2)歯科医師第1回 考えてみよう 再評価は何のため? 再評価は、検査をしてその結果から次の計画を考える重要なステップです。検査結果によりSPTに移行する場合もあれば、再SRPや歯周外科が必要となる場合もあり、適切に見極めて対応する力が必要となります。また、個々の患者さんに応じたSPTのプログラムを立てることも求められます。そこで本連載では、どのような状態であればSPTに移行できるのか、また、どんなSPTの計画が立案できるのか、4回にわたって解説していきます。 まず第1回目では、目的と重要性を再確認します。連 載歯周基本治療後の再評価SPTにつなげるための着眼点成功例と失敗例に学ぶ再評価の重要性1SPT中に問題が起きることはありませんか? 再評価時の検査が正確に行われなかったり、判断が間違っていたりすると、SPT移行後に問題が発生することがあります。ここでは再評価がいかに重要であるか、成功例と失敗例からみていきます。歯石の取り残しを見逃し、さらに非外科治療の限界を見極められなかった症例Case1失敗例歯周基本治療の再評価の検査で、4近心に取り残した歯石を把握できず、SPT中に歯周炎が再発してしまったケースです。再評価の結果、再SRPを行いました。その後の再々評価でも炎症がみられましたが、歯石の取り残しによるものではなく、コンケイブがみられたため治癒に時間がかかっていると判断してしまいました。その結果、SPT2年目には発赤・腫脹がみられ、歯周ポケットは6mmと再発してしまいました。図3のエックス線写真からは歯石が確認できます。本来であれば、1度目の再評価で非外科治療の限界であると判断し、歯周外科を検討すべきでした。そうすればSPT中に再発するという事態を防げた可能性があります。再評価で正確な検査が行われなかったと思われる症例Case2失敗例他院にて歯周治療を受け、数年間にわたってSPTを継続していた患者さんです。当院に転院してきたときは、プロービング時の出血があり深いポケットもみられ、SPTを受けられる状態ではありませんでした。エックス線写真からは歯石も確認できます。本ケースのように問題を残したままSPTを継続していれば、歯周病が進行してくることは容易に想像がつきます。歯周基本治療後の再評価が、目的意識を持たず漫然と行われていたのではないかと推測されるケースです。

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