歯科衛生士 2月
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歯周治療を軌道にのせるためにまずわかっておきたいこと歯科衛生士として歯周治療を実践する前に、まずは歯周病に対する現在のとらえ方を知っておくことが大切です。歯周病は、ひとりひとり違うもの 私たち人間の身体はそもそも10億年という果てしない歴史の果てに多細胞の生物になった60兆個(70兆個または100兆個という説もあり)の細胞の集合体です。近年の遺伝子解析により、ひとりひとりのDNAには歯周病に関連する遺伝子が存在することもわかってきました。これは、一言で歯周病といっても、個人によって病態が異なるということを示しています。 また、細菌は人間の体内に100兆個を超えて存在するといわれています。このことは、歯周病の発現や進行、治療、さらには予防においては、個人ごとにオーダーメイドの歯周治療が必要であることを意味しています。 オーダーメイドの歯周治療というと高度な遺伝子治療や再生治療など、最先端の医療を思い浮かべがちですが、目の前の患者さんの疾患を確実に治療して予防することこそが最先端治療といえます。病因論に忠実に従えば、歯周病はシンプルに治療できるとともに、予防成果も高い疾患であることが明らかになっているからです。歯周病は「悪いところを除去、修復すれば終わり」ではない 右に挙げたものは、1997年のEuropeanWorkshop of Periodontologyでのコンセンサスです。ほとんどのヨーロッパ諸国ではこうした歯周治療に関する世界基準の共通認識のもと、教育が行われています。 歯そのものが口腔常在菌だらけの口腔に存在する限り、悪い部分(歯周組織)を除去するなど治療による治癒は一時的なものにすぎません。介入をしない限りは再発するため、生涯にわたるメインテナンスと予防という介入の継続こそが歯周治療であると位置づけられたのです。歯周病は歯周軟組織の炎症である歯周病は進行状態によって歯肉炎と歯周炎に分類され、共通病態は炎症である積極的治療よりもむしろ治療後のSPTによるメインテナンスが効果を左右する歯周病はメインテナンスを行わない限りは再発を繰り返す疾患である歯周炎は歯肉炎から移行した病態であり、その相違は骨喪失の有無である歯周病の原因は歯の表層に付着するバイオフィルム(プラーク)である歯周病の原因であるバイオフィルムの除去がもっとも効果的な歯周治療である歯周治療に関する世界基準の共通認識はこれ!オーダーメイドで継続的な介入が生涯にわたって必要25歯科衛生士 Vol.38 February 2014

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