歯科衛生士 5月
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上顎中切歯の未萌出を主訴に来院された8歳の女児です。精神遅滞とてんかんの既往があり、そのための薬も内服されていました。まずは歯科受診に慣れる目的で3週間ごとに来院してもらい、7ヵ月後には上顎中切歯の萌出が確認できました。それまでう蝕はなく口腔衛生状態も良好なことから、次回来院を3ヵ月後としました。 しかし、その3ヵ月後の来院ではう蝕が多発していました。患児や保護者の体調不良があったわけでもなく、口腔清掃も以前と同様に行っていました。もともと間食の習慣はなく、食事内容や嗜好にも変化はありませんでした。変化があったのは、常用薬やその内服方法でした。 以前より抗てんかん薬の散剤、顆粒剤を内服していましたが、その際、お茶で内服していたそうです。しかし抗てんかん薬の増量にともない内服に時間がかかるため、内服しやすい抗てんかん薬のシロップ剤に変更されていました(図1)。子どもの生活の中にひそむ これもう蝕の原因 だったの? を探せ!UNDER20特集薬の変更で、う蝕リスクがあがった?! シロップ剤が 実は見えないう蝕の原因に!藤田琴美 神戸市立こうべ市歯科センター 歯科衛生士そこで、シロップ剤について調べると…… シロップ剤には高濃度の白糖(スクロース)が添加されていることがわかりました。これによってう蝕のリスクが高まったと考えられました。 このような変化は、内服薬の把握だけでは気づきにくいものです。些細なことまで私たちは確認していく必要があります。この患児の服薬指示は夕食後でたが、実際の服薬は夕食から約2時間後でした。夕食後だと眠気で入浴させにくいためでした。う蝕予防のためにも服薬時間を守ることを伝え、口腔清掃やフッ化物使用を指導しました。現場からの報告なんでう蝕が……?問題のない口腔内初診時う蝕が多発!メインテナンス3ヵ月後30歯科衛生士 Vol.38 May 2014

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