歯科衛生士 5月
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高齢患者さんでは特に要注意! 歯周治療で起こる菌血症歯周治療中 ココに注意!SRPは超音波スケーラーを併用する 菌血症への配慮からも、SRPはスピーディーかつ効率よく行わなければなりません。手用スケーラーは深いポケットや微小な歯石除去に対応できる一方で、「時間がかかる」「刃部が歯肉上皮を傷つけ出血をともなう」という欠点があります。そこで、歯肉縁上や浅いポケットの歯石を短時間で除去でき、比較的少量の出血で済む超音波スケーラーを併用することで、出血量を最小限に抑え、効果的な結果が得られます(図5)。観血処置はなるべく1回で済ませる 菌血症予防のために、観血処置はなるべく1回で済ませましょう。複数回に分ける必要がある場合は、間隔を9~14日あけることが望ましいです。出血が多い場合は、創部を保護する 歯周外科治療のみならず、SRPであっても出血が多い場合は、縫合(図6)や歯肉パックで創部を保護し、細菌が血管内に流れ込まないようにしましょう。図6 縫合縫合を行った部位でブラッシングすると糸がほどけてしまうので、期間中はその部位におけるブラッシングを患者さんに控えてもらう必要がある。また、絹糸を使用した場合はプラークが付着しやすいので、1週間程度で抜糸しなければならない。歯周治療後 ココに注意!必要に応じて、抗菌薬を追加投与する 歯周外科治療や侵襲度の大きいSRP後には、高齢患者さんに対して術後感染のために抗菌薬を数日分処方します(予防投与とは異なります)。高齢患者さんでは治癒にも時間がかかることが予想されますので、SRPや抜糸後も日を追って治り具合を確認していきます。このような場合、通常経口抗菌薬の追加投与は行いません。しかしながら、いつまで歯周治療以外 ココに注意!手用歯ブラシ・電動歯ブラシの両方をうまく利用する 高齢患者さんにおけるブラッシングには、歯面に付着しているプラーク除去のみならず、手指や腕を動かすことで身体機能を維持し、脳を活性化させるというリハビリの役割もあります。ですので、基本は手用歯ブラシを使用してもらうようにしましょう。 一方で、運動機能が大幅に低下するなどの来たるべきときに備えて、電動歯ブラシの使い方を覚えてもらう準備も必要です。PCR値や手用歯経っても傷が治らない場合や傷口からの自然出血が続く場合は、継続的な菌血症が起きていると判断されますので、数日分の追加投与を行います。ブラシの動かし方などから電動歯ブラシへの移行を見極め、判断しなければなりません。その際には、軽く、把柄部が持ちやすく、複数の振動数(ブラシ圧が強いと歯肉が傷ついてしまうため)を選べる音波もしくは超音波歯ブラシが適切でしょう。図5 超音波スケーリング最初(プラーク・歯石の大まかな除去)と最後(剥がれ落ちた歯石の洗い流し)に超音波スケーラーを使用することが重要である。歯根の解剖学的形態をイメージしながら、手用スケーラーと超音波スケーラーをその特徴に応じて使い分ける必要がある。55歯科衛生士 Vol.38 May 2014

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