歯科衛生士 8月
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まずはイオン化した金属イオン化した金属皮膚炎などが生じるタンパク質と結びつき、完全抗原(アレルゲン)となる金属金属 金属アレルギーの反応とは、アレルギーの原因物質である「抗原」が侵入してから24~48時間後に触れた局所や全身に発赤、腫脹、湿疹などの症状が生じる免疫反応です。しかし金属そのものは抗原にはなりません。唾液や汗などによって金属がイオン化して体内のタンパク質と結合することにより、「完全抗原」(アレルゲン)となります。それを生体が異物として認識し(これを「感作」という)、再び侵入したときにアレルギーを引き起こします。 アレルギーは、I型(即時型)、II型(組織障害型)、III型(免疫複合体型)、IV型(遅延型)、V型(刺激型)の5型に分けられますが、金属アレルギーはⅣ型です。I型のようにアレルギー反応がすぐには出ないで、遅れて出ることも大きな特徴の1つです。 2006年、2007年の東京医科歯科大学歯学部付属病院歯科アレルギー外来でのパッチテスト陽性件数では、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、水銀(Hg)、パラジウム (Pd)、クロム(Cr)の順に陽性率が高いという報告があります。歯科金属アレルギーについて知ろう歯科金属アレルギーはなぜ起きる? どんな人に症状がでる? まずは基本知識を学びましょう。アレルギー反応は、金属そのものではなくイオン化した金属が原因イオン化した金属が皮膚に侵入し、タンパク質と結合することによって完全抗原(アレルゲン)となる。生体はそれを異物と認識する(これを「感作」という)。次に同じイオン化した金属が皮膚に侵入すると、拒絶反応として炎症(皮膚炎など)を起こす。皮膚・粘膜唾液・汗などによりイオン化感作が成立した生体に、再度同一抗原(イオン化した金属)が侵入イオン化した金属は皮膚や粘膜を通過する補綴物・修復物がアレルギー反応を引き起こす 「金属アレルギー」はアレルギーの代表的な疾患の1つです。それに分類される、補綴物・修復物などの歯科用金属によるアレルギー反応を、「歯科金属アレルギー」と呼びます。ただし、金属そのものは抗原(免疫反応を引き起こす物質)ではありません。金属がイオン化して発症します。 日本皮膚アレルギー・接触皮膚炎学会のアレルゲン調査では、パッチテスト陽性率の高い金属として、ニッケル、コバルト、クロム、水銀が挙げられています。生体が異物と認識する(感作)85歯科衛生士 Vol.38 August 2014

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