歯科衛生士 12月
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舌の痛みを訴える患者さんが来院!この人は何の病気?その舌の痛み、その舌の痛み、もしかしてもしかして口腔灼熱 口腔灼熱 椎葉俊司Shunji Shiiba九州歯科大学生体機能制御学講座歯科侵襲制御学分野准教授器質的異常はないにもかかわらず、舌の痛みを訴える患者さんはいませんか? もしかすると、口腔灼熱症候群(burning mouth syndrome:BMS)かもしれません。BMSは器質的異常がみられないということで、なかなか発見・理解されにくい疾患ですが、適切な対応がなされないままでいると、患者さんにとってQOLの低下にもつながりかねません。口腔の専門家である歯科衛生士だからこそ、BMSに気づく目を養い、患者さんの健康に貢献することが大切です。ADVANCE特集まずは、こちらの症例をご覧ください。患者さんDATA※常用内服薬は患者さんの身体症状を知るのに有効。この患者さんは、便秘、不眠症であることが推察される。年齢53歳性別女性主訴舌の右側がヒリヒリ痛む既往歴高血圧症内服薬アムロジピン(高血圧治療薬)酸化マグネシウム(緩下剤)ゾルピデム酒石酸塩(睡眠導入剤)少し赤くデコボコ(歯痕)していた。クラウンが接触している舌の部分には、器質的異常はみられなかった。 6ヵ月前に、A歯科にて下顎右側大臼歯部にクラウン(全部鋳造冠)を装着しました。その直後から、クラウンを舌で触れてみると、段差とザラザラした違和感がありました。「そのうち慣れる」と言われて1週間経過観察したものの、舌にヒリヒリした痛みが出てきました。しかし、A歯科では特に問題はないと言われ、クラウンの研磨処置を数回繰り返すだけでした。クラウンを装着した直後から、舌が痛み出しました。 その後も症状が改善しなかったため、B歯科を受診しました。しかし、そこでも症状は改善しなかったため、C歯科を受診しました。C歯科では、金属アレルギーが原因の可能性があると指摘された結果、クラウンは撤去されました。ところが、症状が改善するどころか、かえって痛みがひどくなったうえに、痛みの範囲は頬にまで広がっていました。クラウンを撤去すれば良くなるかと思ったら、逆効果でした。患者さんにお話を聞いてみると……患者さんの口腔内を見てみると……48歯科衛生士 Vol.38 December 2014

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