歯科衛生士 2016年4月
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開業歯科医院で働く皆さんは、院内感染対策と聞いてどんなことをイメージするでしょうか? 滅菌が大変? コストがかかるから……とあきらめていませんか?でも実は、工夫と知識と考え方次第で、院内の感染対策・清潔度はぐっと向上させることができるのです。スタッフの無理な努力や、採算度外視の投資は必要ありません。今回は、歯科衛生士の立場から実施・提案できる、“すぐできる”院内感染対策をご紹介します。 今あなたが働いている歯科医院では、感染対策はどのくらい行き届いていますか? スタンダードプリコーション(標準予防策)を実施できているでしょうか? 院内感染対策は、手洗いやグローブ着用、器具の洗浄・滅菌、環境表面のラッピングや清拭など、汚染を持ち込まない・持ち出さない・広げないという一般的な方法と、ワクチン接種のような特異的な方法があります。その実施には、膨大な労力と費用が要求されるように思われるかもしれません。実際、新しい器材が必要であったり、ディスポーザブルなどの消耗品が増えたりと、実践を妨げる要因はいくつもあります。しかし、すべての感染対策に膨大な労力と費用が要求されるわけでありません。工夫により労力と費用を圧縮することは可能です。 まずは、対策のしやすい“身近なところ”から感染対策のレベルを改善し、標準的な感染予防レベルを目指しましょう!すぐできる!院内感染 プラスα特集 「スタンダードプリコーション」は、アメリカ疾病予防管理センター(CDC)が提唱した「血液や体液、排泄物、分泌物を介して拡散する病原体から医療従事者や患者を守ることを目指す標準予防策」のことです。①血液、②血液の混入の有無にかかわらず、すべての体液、排泄物と分泌物(汗を除く)、③損傷のある皮膚、④粘膜との接触に対しせっかくの対策がムダにならないために―スタンダードプリコーション―て適用され、特に歯科感染管理上、唾液はつねに感染の恐れのあるものとされています1)。つまり、歯科医院を受診するすべての患者さんに対して同じように感染対策を行うことが必要ということなのです。ですから、つねに一定の基準をクリアした感染対策を行うことが必要です。 しかし、その基準を理解していないと、感染対策を意識するあまり労力や費用の負担が過剰になったり、せっかく対策を行っているつもりでも基準に届いていないため無駄になってしまったりするかもしれません。CDCでは、その一定の基準、すなわちスタンダードプリコーションを示したガイドラインを出しています。今回は、そのガイドラインもふまえた感染対策のレベルアップの工夫をご紹介します。感染対策レベルアップはちょっとした工夫で無理なくできる!歯科衛生士 April 2016 vol.4052

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