歯科衛生士 2016年6月
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「若い」相手から指導されたくないから1 あなたは、「年齢が若い」と聞いて、どのようなことをイメージするでしょうか? 元気がある、活き活きしている、潤いがある、フレッシュな……など、いいイメージがたくさんあると思います。しかし、逆のイメージもあります。未熟な、不慣れな、幼稚な……などが挙げられます。 年配の方は、相手が若いというだけで、「経験が浅いのではないか」「技術が未熟なのではないか」という先入観を抱きます。そして、「世の中のこともよく知らないくせに偉そうに」と、それだけで心をシャットアウトしてしまいがちなのです。 あなたのご両親のことを考えてみてください。あなたが何かアドバイスしても、「生意気言うな」などと言って素直に聞いてくれないことはありませんか? 年配の患者さんもあなたのご両親と同じで、自分の子どものような若い世代の人から「指導される」ことに抵抗があるのかもしれません。 指導がうまくいかないと、「自分に何か悪いところがあるんだろうか」「私がダメなのか」と落ち込んでしまうこともあるかもしれません。でも、前述のように、年配の患者さんが話を聞いてくれない最大の原因は、あなたの「若さ」にあるのです。自分に非があるのではなく、「若さ」に原因があると思うと、少し気が楽になりませんか? だからといって、急に20歳も30歳も年をとることはできません。親世代の患者さんに対しては、「聞いてくれないのがあたりまえ」というのが基本だと考えて、そこからどうやって攻略していくか作戦を練るくらいの心構えでいたほうがいいかもしれません。理由そのへ!PART2どうして話を聞いてもらえないの? 「変化」が苦手だから2 年配の方は、長年の人生の積み重ねの中で自分の生活スタイルをすでに確立させています。毎朝納豆を食べるなどといった食習慣をはじめ、仕事や趣味などにおいても、経験上「これがいい」とたどり着いた答えが生活スタイルを支えています。 そして、そのスタイルをなかなか変えたがらないという傾向があります。今まで知らなかった新しい情報があっても、「これまでちゃんとやってこられたのだから、自分には必要ない」と捉えてしまいます。 また、新しいことを覚えるには、若い時よりも時間がかかってしまいますし、「いまさら新しいことに挑戦して失敗したり挫折したりするのを避けたい」という思いもあります。要するに、「面倒くさい」という思いが先に立って、新しいことを積極的に取り入れようという気持ちがなかなか起こりにくいのです。 しかし、年配の方というのは、いったん納得したら自ら進んで行動する方たちでもあります。自分にとって必要な利益があり、それを得る目的がはっきりすれば、こちらからいちいち言わなくても行動を起こします。年配の患者さんたちのこのような特徴を理解して対応することが、TBIの成功につながります。理由そのPART1「若さ」からくる先入観はマイナスなことばかり新しいことへの挑戦は「面倒くさい」「聞いてくれないのがあたりまえ」と考えれば気が楽に納得すれば進んで行動を起こす歯科衛生士 June 2016 vol.4038

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