歯科衛生士 2016年8月
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Illustration:飛田 敏、中小路ムツヨ悩みはこう受け止めよう 下の①~③のようなお口の悩みは、治療の対象となる“疾患”ではありませんが、安静時や、捕食・咀嚼・嚥下・発音といった機能時の舌突出癖に代表される「口腔筋機能障害」の徴候である可能性も考えられます。口腔筋機能障害が放置され定着すると歯列不正の一因となるだけでなく、食事・呼吸・発語・表情の表出へも影響が出て、QOLに差し障るようになると言われています。 そして、口腔筋機能障害は、成長とともに形態の問題もともなうようになり、発現から時間が経てば経つほど改善することが難しく、複雑になっていきます。 口腔筋機能障害の原因はさまざまですが、「間違った食べ方(哺乳含む)」「習慣性口呼吸」「姿勢」「年齢(舌機能発達の個人差)」など、予防的な対応がとれるものもあります。もし保護者が訴えるお口の悩みが口腔筋機能障害の徴候を示すのであれば、歯科医院でそのお口の悩みを解決することが、子どもの健やかな口腔づくりの一助となり、将来のQOL向上にもつながります。早期にお口の悩みをひろえれば、子どもの健やかな口腔づくりにつながるお口の悩み●仕上げみがきがしにくい●食べる質と量、食べ方が気になる●“お口ポカン”など口腔筋機能障害●安静時の低位舌●口唇閉鎖不全●捕食、咀嚼、嚥下、発音などの機能時の舌突出癖QOLの低下●食べ物を上手に食べられない(きれいな所作で食べられない)●開口癖●口呼吸●誤解を招くような表情●発音しづらい音があるために会話を楽しめない「好き嫌いが激しい」「あまり量を食べてくれない」といった“食事の質と量”に関する悩みや、「遊び食べ」「食べこぼす」「音をたてて食べている」「口を開けて食べる様子が気になる」といった、“食べ方”に関する悩みを抱えている保護者は多いです。2食べる質と量、食べ方が気になる上下の口唇が離れていて、時には舌背まで見えている口元の状態を“お口ポカン”という表現で相談されることがよくあります。特に、遊びやテレビに集中しているときにお口が開きっぱなしになっていて、気になって観察してみるといつも口が開いていることに気づいたと訴えられることもよくあります。3“お口ポカン”35歯科衛生士 August 2016 vol.40

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