歯科衛生士 2016年9月
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思春期になると   子ども 口腔内にも思春期の嵐が吹き荒れる 永久歯への交換が11~12歳頃に終わり、14~15歳で第二大臼歯が完全萌出し永久歯咬合の完成を迎えることで、学童期に比べて口腔の状態は比較的安定するはずですが、思春期では口腔の問題が多発します。これは、上記のように、大人へと成長する過程の大きな変化によって、生活の管理がおざなりになることが1つの要因です。小学生の頃は保護者に連れられて定期的にメインテナンスに通ってきていた子どもが、来院が途絶えがちになるのもこの時期です。身体の変化生活環境の変化●10歳頃までの学童期には、う蝕は顕著な減少がみられる。しかし、思春期のう蝕は減少傾向にはあるもののまだまだ罹患者率は高く、多くの者にう蝕がみられる(図1)。●女子では痩身願望から一食あたりの量を少なくし、その分間食が増える(いわゆる「チョコチョコ食べ」)など、思春期特有の生活習慣に関連してう蝕リスクが高まる。とくに、外出時に酸性飲料をペットボトルで持ち歩いたり、運動時にスポーツ飲料を頻回摂取したりすることにより、酸蝕症も起こりやすくなる。う蝕・酸蝕症が増える1思春期の口腔図1 現在歯に対してう歯を持つ者の割合の年次推移(5歳以上、永久歯)(%)(歳)15~1910~145~910080604020063.734.710.4思春期に増加!●塾や夜遅くまでの勉強で食事が不規則になり、間食や夕食代わりの軽食、夜食が増えやすくなる。飲料なども自分で選んで購入するようになるため、甘味飲料が多くなる傾向がある。●学童期に比べ、男子では肥満が増え、女子では痩せ(低体重)の割合が増える傾向がある。●生殖器が発育し、性ホルモンが分泌され、第二次性徴が現れることで、男女の特徴が明確になってくる。男子では、精液分泌、変声、発毛など、女子では、初潮の訪れ、乳房の発達などがみられる。●骨格や筋肉などの発育により身長・体重などが急激に増加する。※乳児期・幼児期前半と思春期が発育の2つのスパート時期といわれる(文献1より作成)歯科衛生士 September 2016 vol.4028

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