歯科衛生士 2017年8月
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Illustration:キムラみのる、飛田 敏金子 至Itaru KANEKO医療法人創志会金子歯科医院[長野県]院長・歯科医師吉田直美Naomi YOSHIDA千葉県立保健医療大学健康科学部歯科衛生学科教授・歯科衛生士 進まない。 、歯科衛生過程を応用した新人育成金子 至 金子歯科医院・歯科医師長田芳野 Yoshino NAGAtA関根菜々子 Nanako SEKINE栁澤陽華 Haruka YANAGISAWA医療法人創志会 金子歯科医院[長野県] ・歯科衛生士福田修二 Shuji FUKUDA金子 創 Hajime KANEKO金子 智 Tomo KANEKO医療法人創志会 金子歯科医院[長野県] ・歯科医師Case Reports 歯周治療はすべての歯科治療の基盤となるため、大変重要です。当院に来院される患者さんの大多数にも歯周治療が必要なのが現状で、採用した歯科衛生士には早期に戦力となってもらうことが喫緊の課題となります。 しかし、新人歯科衛生士はスキルと経験が少ないため、必要なアセスメントを得ることが不十分で、目的がはっきりしないまま「とりあえずブラッシング指導」を行い、その後は……? ということが多く、思うような治療効果が上がりません。たしかに、ブラッシング指導は術者・患者ともに視覚的にわかりやすく、「赤いところをきれいに落としましょう」という(とりあえずの)ゴールを設定しやすいのですが、何を指導すればいいのか、どこまでやったら成果が出たと判断するのかという基準がなければ、とにかくひたすら指導することになりがちです。そのため、当院では新人に限らず、新しく採用した歯科衛生士には、先輩歯科衛生士と歯科医師の2名が指導者として付き、“考える診療”をテーマに、できるだけ具体的に歯科衛生士教育を行っています。 2016年の春、当院は3人の歯科衛生士を採用し、恒例の新人教育をスタートさせました。新人でも、ベテランの歯科衛生士が日常臨床において自然に行っているように、患者さんの問題点を探し出し、達成すべき目標を見つけ、やみくもなブラッシング指導には陥らないようにしたい。「新人でも問題点を思考し、論理的に指導を進められるように早くなってほしい」と試行錯誤してきましたが、歯科衛生過程がその道標として大変有効ではないかと考え、取り入れることにしました。 まず、主訴を解決した後に、アセスメント(情報収集・解釈・分析) → 歯科衛生診断 → 歯科衛生計画の立案 → 歯科衛生介入→ 評価→ SPT(supportive periodontal therapy)・メインテナンスと、歯科衛生過程の流れに沿って治療を進めていくことで、頭の整理ができ、治療効果が上がります。 新人でも扱えて結果がともなう、とてもシンプルでかつ効果的な歯科衛生過程について、当院の新人歯科衛生士が担当した症例を通して考えてみたいと思います。25歯科衛生士 August 2017 vol.41

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