歯科衛生士 2018年2月
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「生活の場」で歯科診療を行うということは…… 歯科訪問診療が診療室での診療と決定的に違うのは、訪問先が「医療現場」ではなく「生活の場」であるということです。滅菌・消毒された診療器具や物品を、患者さんのお宅にある机などの上に並べることになるため、リモコンやティッシュケースなどを動かした場合は、診療後に元の場に戻し現状復帰させるなど、いろいろな配慮が必要となります。 また、荷物を置く床の材質は、フローリングや畳、じゅうたんなどさまざまです。なかにはペットを飼われているお宅もあります。そうした「生活の場」では、塵や埃、ダニ、髪の毛やフケ、患者さんの状態によっては唾液が落ちていることもあります。そのような環境で歯科診療を展開するのですから、清潔・不潔の概念をしっかりと持っておくことが重要で、清潔域を確保しながら診療を進める必要があります。使用器具の感染管理については、次号で詳しく説明します。診療室全部を持って行けるわけではないから 基本セットをはじめ訪問診療で使う器具は、基本的に診療室で使うものと同じです。とはいえ、診療室全部を持って行けるわけではないため、スタンダードプリコーション(標準予防策)を基盤に、滅菌したものを持ち運びしやすい形にします。ちなみに図1のようなポータブルユニットもあります。使うものは同じだけど、使う環境は違います診療室で使うものを、清潔で持ち運びしやすい形に整えて持って行きましょう。A有友たかね 歯科衛生士何を持って行けばいいの?Q2「生活の場」で医療を展開するための準備を図1 ポータブルユニット可撤式歯科用ユニット。写真は、オサダポータブルユニットデイジー2(長田電機工業)。ユニット部バキューム部バキュームマイクロエンジンモータマルチシリンジ超音波スケーラー正面歯科衛生士 February 2018 vol.4260

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